2021 Fiscal Year Research-status Report
位相幾何学的グラフ理論を用いたRyser予想の研究
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21K13829
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大野 由美子 横浜国立大学, 研究推進機構, 特任教員(助教) (40881074)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 位相幾何学的グラフ理論 / Ryser予想 / グラフ / ハイパーグラフ / グラフ彩色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ハイパーグラフの最大マッチング数と最小頂点被覆数を、閉曲面上のグラフのface independence numberとguarding numberと呼ばれる不変量へそれぞれ翻訳し、位相幾何学的グラフ理論の知見を用いてRyser予想を解決することを目標としている。また、グラフの彩色を用いた観点からも研究を進めていく予定となっている。 2021年度はまず、閉曲面上の三角形分割のguarding numberについて、facial complete coloringと呼ばれる彩色との関係について研究を行い、それらの結果をまとめた論文「Facial achromatic number of triangulations with given guarding number」が出版された。なお、この論文では、ある条件を満たす三角形分割のguarding numberが3であることを計算機を使って確認しており、この手法は今後の研究でも活かしていきたいと考えている。 また、グラフの彩色の観点からは、イランの研究者であるN. Haghparast氏とM. Hasanvand氏とともに、ハイパーグラフのある特別な彩色について結果を得ることができ、それらをまとめた論文「The existence of uniform hypergraphs for which interpolation property of complete coloring fails」が出版された。この論文では3-uniformなハイパーグラフの結果が主となっており、これはRyser予想で扱われるr-partiteなハイパーグラフのうち、rが3であるものを含んだグラフクラスとなっている。この他にも、閉曲面上のグラフの彩色についていくつか結果を得ることができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に示したように、2021年度は本研究を遂行するために重要な閉曲面上のグラフの不変量やハイパーグラフ、またグラフの彩色に関する結果をいくつか得ることができた。また、文献調査なども同時に進めていることから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに得られた三角形分割の結果を参考にしながら、一般のr角形分割におけるface independence numberやguarding numberおよび彩色についての研究を引き続き進めていく。そしてそれらを用いて、r-partiteなハイパーグラフの言葉を位相幾何学的グラフ理論の言葉へと翻訳した理論を構築し、Ryser予想の解決を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、予定していた研究打ち合わせや国際研究集会への現地参加ができなかったため、次年度使用額が生じた。これらは2021年度に実施できなかった研究打ち合わせや研究集会参加のために、来年度の旅費などに使用予定である。
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Research Products
(7 results)