2021 Fiscal Year Research-status Report
工学的応用を起点とする可積分系および直交多項式の研究
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21K13843
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
赤岩 香苗 京都産業大学, 情報理工学部, 准教授 (30771878)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 逆固有値問題 / 離散可積分系 / 直交多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者はこれまで、可積分系や直交多項式のもつ解構造や正値性といった「よい性質」を利用して、様々な形や性質を持つ行列の逆固有値問題の解法を定式化してきた。しかしながら、工学・ 理学に現れる問題に即した解法の開発には至っていない。本研究では、実問題に現れる逆固有値問題に合う可積分系や直交多項式を導出し、問題を解決することを目的としている。 最近報告者は、ローラン双直交多項式と直交ローラン多項式がローラン-ヤコビ行列と呼ばれるジグザグ構造をもつ5重対角行列の固有値問題に関連づくことを示している。ローラン双直交多項式の満たす漸化式は離散相対論戸田方程式とも呼ばれており、離散相対論戸田方程式を用いてローラン・ヤコビ行列の逆固有値問題の解法の定式化に成功している。さらに、作成されるローラン-ヤコビ行列が、すべての小行列式が非負である非負 (totally nonnegative, TN) 行列となる条件についても明らかにした。 2021年度は、ローラン-ヤコビ行列とは別のジグザク構造をもつ行列と直交多項式との関連について調べた。ジグザグ構造をもつ行列に関連する直交多項式とその行列式解について確認することができた。直交多項式の満たす漸化式は、変数変換によっていくつかの表示方法があるため、どの変数表示を用いて逆固有値問題の解法の漸化式を導出するのが適切か検討を行った。また、本研究が対象としている逆固有値問題が現れる工学的応用の周辺分野について、文献収集と調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主な要因は、2020年度から引き続き2021年度も新型コロナウイルスの影響で、研究時間を十分に確保できなかったことと、国際会議の延期、会議のオンライン開催等で情報収集や打合せが進まなかったことである。
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Strategy for Future Research Activity |
数式処理ソフトを援用し、具体例や数値例を観察することで逆固有値問題への解法の導出を試みる。学会の対面開催が再開されつつあるので、積極的に最新情報の収集を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由として、参加予定の国際会議が2022年度に延期されたこと、コロナ禍の影響によりほとんどの国内会議がオンラインで実施され旅費が発生しなかったことが挙げられる。 2022年度は、会議の対面開催が再開されつつあるので、主に旅費に充てる。また、デスクトップPCの購入等を予定している。
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