2021 Fiscal Year Research-status Report
High Performance Extraction Method of Ringdown Gravitational Waves by combining Deep Learning and Adaptive Mode Decomposition
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21K13926
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
酒井 一樹 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 助教 (40824298)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 重力波 / ディープラーニング / 適応型モード分解 / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
ディープラーニングと適応型モード分解の融合による高精度なリングダウン重力波抽出法の構築の第一段階として,ディープラーニングの枠組みの中でバターワースバンドパスフィルターを扱えるようになることに成功した。具体的には,ノイズを含む重力波の観測データのシミュレーションデータについて,ノイズを加える前の重力波波形を高精度に抽出するためのバターワースバンドパスフィルタのカットオフ周波数をディープラーニングによって設計させることに成功した。 構築したフィルタ設計用のディープラーニングの評価として,連星ブラックホール合体による重力波について,ブラックホールの質量を変化させた際にディープラーニングが出力したフィルターのパラメータ(中心周波数とQ値)がどのように変化するかを調べた。その結果,ブラックホールの質量が大きくなるほど中心周波数が低くなるという,直感と一致する結果となり,有用性が確認された。 その他にも,適応型モード分解の効果的な活用を検討するために,Hilbert-Huang変換の拡張の検討を行った。Hilbert-Huang変換では,そのモード分解の過程で極値間の補間を行うが,それをスプライン補間から秋間補間に変えた場合の重力波のデータ解析における影響を評価した。連星中性子星合体による重力波のポストマージャー波形の評価を行ったところ,異なるEOSを仮定した2つのシミュレーション波形に対して,秋間補間を用いたモード分解の方が,有意にその2つを区別できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,2021年度において「ディープラーニングの枠組みにおいてバターワースフィルタを扱えるようにする」を完了する予定であり,この目標は達成できた。扱えるようにするだけでなく,実際に重力波のシミュレーションデータに対して適用することで,その方法の評価まで行うことができた。それに加えて,HIlbert-Huang変換の拡張の評価検討を行うことができたことも,この評価の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで計画通り順調に研究が進んでいるため,今後も計画の通りまずはHilbert-Huang変換のモード分解を周波数領域での変換に置き換えた理論を構築することに取り組んでいく。Hilbert-Huang変換のモード分解はカットオフ周波数を適応的に決めたハイパスフィルタを連続的に作用させるものとみなすことができるので,これまでの成果を用いることで,実現できると考えている。 残りの3年間で,理論の構築から実装,検証まで計画通りに進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により予定していた国内学会がオンラインとなったために次年度使用額が生じた。次年度,研究協力者との打ち合わせのための出張が増える予定であり,次年度使用額については旅費の補填として使用する計画である。
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