2022 Fiscal Year Research-status Report
白亜紀大規模珪長質カルデラ火山群のマグマフラックスの推定と評価
Project/Area Number |
21K14023
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 大介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (80586595)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | カルデラ / 白亜紀 / マグマフラックス / 西南日本 / 火山 / ジルコン年代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,西南日本に広く分布するカルデラ火山を伴う大量の白亜紀珪長質火成岩類を対象に,カルデラ火山群のマグマフラックス(単位時間・単位面積あたりの噴出量)の推定とその評価をすることである.具体的には,詳細な地質調査と岩石の定量分析により,白亜紀カルデラ火山群を構成する個々のカルデラの火山層序の確立とカルデラ内部の地質構造復元を行い,マグマ総噴出量を求める.研究2年度にあたる2022年度の計画には,初年度に引き続き,地質調査・試料採取・定量分析・年代測定を行うこととしていた.2022年度に実施した研究内容は以下のとおりである. 野外調査については,白亜紀・古第三紀の火成岩類を対象に主に兵庫県県内(但馬・播磨・神戸・淡路島地域)において実施した.特に,地質が十分に明らかになっていない兵庫県但馬地域では,一般に花崗岩類は火山岩類に貫入するとされるが,今回調査を行った結果,花崗岩類を覆う火山岩類を確認した.この火山岩類を対象にジルコンU-Pb年代測定を実施したところ既存の地質図で推定されていた年代より明らかに若い年代が得られた.2022年度の調査により,但馬地域の白亜紀から古第三紀までの火成岩類の分布とその年代が明らかになってきた.また,初年度に実施した地域より北側の播磨地域から但馬地域の火成岩類を対象にU-Pb年代測定を行った.その結果,対象地域の火成活動の時期とその期間について,先行研究に比べてより精度の良い制約条件を得ることができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目は,初年度に引き続き地質・年代情報の蓄積が主な目標であった.地質が十分に明らかになっていない兵庫県但馬地域の白亜系・古第三系を把握でき,播磨地域から但馬地域の火成岩類の活動時期を制約できたことことから,それらはおおむね達成できたと判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,年度前半に残りの年代測定を実施し,これまでに蓄積した地質学的データや年代学的データーを検討し,国際誌に論文をまとめたい.本研究は現在のところおおむね順調に進展しており,研究を遂行する上での重大な問題や課題も生じていない.基本的には当初の研究計画に従い研究を進める.
|
Causes of Carryover |
2022年度末に野外調査を予定していたが,コロナや他の出張が重なり実施できなかったこと,2022年度発注した外注分析が2023年度当初の契約となったことが理由である.2022年度未使用額は2023年度の調査旅費のほか試料の分析経費等に効果的に活用する予定である.
|