2021 Fiscal Year Research-status Report
ヘテロコア光ファイバによる高感度バイオセンサの開発
Project/Area Number |
21K14173
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
細木 藍 国立遺伝学研究所, 情報研究系, 特任研究員 (30748835)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヘテロコア / 光ファイバ / 高感度バイオセンサ / LSPR / 偏波保持ファイバ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、極微量の標的核酸を直接高感度に検出するための新たな技術基盤として、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)の励起に必要なエバネッセント光を容易に生じさせることができるヘテロコア光ファイバと、プローブ核酸を修飾した金ナノ粒子とを組み合わせた革新的バイオセンサの構築を目指す。 令和3年度は、偏波保持ファイバ(PMF)を用いたヘテロコア光ファイバセンサを試作し、プローブ核酸を修飾した金ナノ粒子の固定化方法を検討した。 ヘテロコア光ファイバの高感度化のために、センサ部である従来のシングルモード光ファイバ(SMF)の部分に、コア径3μm程度のPMFを用いてセンサを作製した。高周波スパッタリング装置を用いて金薄膜を成膜し、グリセリン水溶液の屈折率変化に対するセンサ感度を調査した。その結果、PMFを用いることで、センサ部をSMFとした従来のヘテロコア光ファイバセンサよりも共鳴波長のシフト量や単一波長における光損失量が増大した。これは、センサ部内の入射角度分布が臨界角度の近くにシフトにしたためであることが実験により確認された。 さらに、ビオチン化DNAを固定化するために、金ナノ粒子を導入したセンサ部表面のストレプトアビジンの吸着による光強度の変化を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、ヘテロコア光ファイバの高感度化のために、偏波保持ファイバ(PMF)やフォトニック結晶ファイバ(PCF)などの特殊ファイバを用いてヘテロコア光ファイバを構築することを計画した。 前述したとおり、PMFを用いることで、センサ部をシングルモード光ファイバとした従来のヘテロコア光ファイバよりもセンサ感度を高めることに成功した。これは、想定していたセンサ部内の入射角度分布を臨界角度に近づけることができたためであると考えられる。また、金ナノ粒子を固定化したセンサ部へのストレプトアビジンの導入も確認できた。そのため、本研究の計画を順調に進めているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、特殊ファイバを用いて高感度化したヘテロコア光ファイバLSPRセンサを構築し、標的核酸の検出感度を調査する。 具体的には、以下の通りである。 1)ヘテロコア光ファイバLSPRバイオセンサのスペクトル評価:ストレプトアビジンを結合した金ナノ粒子を高感度化したヘテロコア光ファイバの表面に導入し、ビオチン化DNAを固定化することで、LSPRバイオセンサを構築する。このとき、正しく結合できているかを確認するために、結合していく様子をリアルタイムに記録しながら、結合過程を観察する。30塩基程度のビオチン化DNAと相補的なDNAを用意し、プローブ核酸と 標的核酸との相互作用による検出感度の評価を行う。 2)塩基数の違いによる標的核酸に対する検出感度の検討:30~100塩基程度のビオチン化DNAと標的DNAをそれぞれ用意し、お互いが相補的である場合とそうでない場合の光損失スペクトルの比較を行う。また、標的核酸の濃度の違い(数aM~数fM)や塩基数の違いによる検出感度を調査し、本センサで極微量として捉えられる濃度や塩基数などを明らかにする。また、粒径の違う金ナノ粒子や近赤外領域に吸収波長を持つ金ナノロッドも用いて、高感度に検知可能なナノ粒子の選定も行う。
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