2023 Fiscal Year Annual Research Report
SiスピンMOSFETの実現を可能とする低界面抵抗構造の創製
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21K14213
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石川 瑞恵 日本大学, 工学部, 講師 (60751865)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SiスピンMOSFET / スピン伝導 / ホイスラー合金 / 界面抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
新しい動作原理に基づくシリコン(Si)スピン電界効果トランジスタ(SiスピンMOSFET)は,近年進展が目覚ましいIoT(Internet of Things : モノのインターネット)技術を支える電子機器の更なる小型化・高速化・低消費電力化への貢献が期待できる,極めて重要な新型半導体デバイスである.SiスピンMOSFETの実現には,Siへのスピン注入技術が最重要課題である.本研究では,これまでのSiスピンMOSFETの研究で得られた知見に基づき,スピン信号の低減を招く界面抵抗に着目し,低界面抵抗構造を創製することにより,スピン信号強度を増大させることを目的とする. 昨年度より,実施していた低界面抵抗構造の形成に必要な高濃度p型Si層の作製において,拡散アニール温度を低減することにより,高濃度n型Si層レベルの表面粗さを有する高濃度p型Si層の作製に成功した.また高濃度Si上でのCoFeB/極薄MgO積層膜の結晶成長について,逆スパッタによる基板表面クリーニングを導入することにより,結晶規則度の高い成膜層を形成することに成功したが,SiスピンMOSFETに必要な高スピン分極率を有するホイスラー合金の形成には至らなかった。その原因として,成膜時に使用するアルゴンガス圧の安定性や再現性が得られなかったことが考えられる.今後はアルゴンガス圧の高精度な調整を可能とする装置改造を行う予定である.なおスピン信号測定器については,スピン信号測定プログラムが完成し動作確認に成功した.今後は低界面抵抗構造を有する微細スピン素子を作製しスピン信号評価を行っていく.
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