2021 Fiscal Year Research-status Report
PC部材の構造性能に及ぼす鋼材の付着損失機構に関するパラダイムシフト
Project/Area Number |
21K14230
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 健太 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10804958)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 数値解析 / コンクリートの応力-ひずみ関係 / 付着応力-すべり関係 / 要素形状 / 定着長 / プレテンション部材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,コンクリート部材における鋼材の付着損失が,部材の構造性能に及ぼす影響を検討することを目的としている.2021(令和3)年度は,曲げ破壊先行型の健全なプレテンション式プレストレストコンクリート部材を対象として,数値シミュレーションにより構造性能評価精度を向上させるための検討を行った.その際,部材を分割する要素形状,コンクリートと鋼材間の付着状況,コンクリートの圧縮側の応力-ひずみ関係に着目した.まずは,前述の着目点が部材の構造性能に及ぼす影響を,鉄筋コンクリート部材において確認する必要があるため,予備解析を行った.そのうえで,プレストレストコンクリート部材を対象として本格的に検討を行うこととした. その結果,鉄筋コンクリート,プレストレストコンクリート部材ともに,構造が複雑な箇所に適用可能な四面体要素を用いて要素分割を行い,高精度とされる六面体要素を用いた場合と同等な要素数とすることで,鋼材降伏までの構造性能を六面体要素使用時と同等な精度で表現可能なことを示した.また,構造性能のみならず,鋼材のひずみに着目した結果,コンクリートと鋼材間に付着応力-すべり関係を導入することで,ひずみを六面体要素使用時の評価精度と同等となることについても示した.さらに,コンクリート部材の破壊までの構造性能を高精度に評価するためには,コンクリートの圧縮側の応力-ひずみ関係に,要素寸法の影響を低減可能な圧縮破壊エネルギーを用いることが有意であることを明らかとした.この研究成果を査読付論文(コンクリート工学年次論文集)として整理し,投稿を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的のひとつは,コンクリートと鋼材間の付着の影響を考慮する方法を提案することである.2021(令和3)年度の研究実績において,付着の影響を解析上で表現する方法に概ね目途が立ったため,上記のように判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2021(令和3)年度には,断面寸法に比べ部材長が大きい曲げ破壊先行型の部材を対象として検討を行ってきたが,部材長によらない評価手法を確立するためには,せん断破壊先行型の部材を対象とした検討を行うことが欠かせない.そこで,2022(令和4)年度には,2021年度に確立した解析手法を基に,せん断破壊先行型の部材を対象として,コンクリートと鋼材間の付着に着目し,数値解析による構造性能評価の精度向上に関して検討を行う.その後,曲げ破壊・せん断破壊に対する構造性能評価手法の統一化を行い,構造物の設計時に有用な手法の提案を行う.最終的には,付着損失の影響を解析に組み込み,劣化したコンクリート橋梁における解析的な残存性能評価手法の確立を行う予定である.2022年度は最終年度であるため,以上の研究成果を取りまとめ,その成果を学会等で公表していく.
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Causes of Carryover |
2021(令和3)年度に,シミュレーション結果を詳細に分析可能な処理能力の高い計算機を購入予定であったが,新型コロナウイルスのまん延および半導体不足により,計算機の部品が品薄となり,予定していた計算機の購入が困難となった.計算機の購入を次年度に変更することとしたため,次年度使用額が生じた.
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Research Products
(2 results)