2021 Fiscal Year Research-status Report
テレワーク普及下の社会経済活動の集積・分散メカニズムに関する数理モデル研究
Project/Area Number |
21K14268
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大平 悠季 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (60777994)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土木計画 / 社会ネットワーク / 交通量 / 通信 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,情報通信技術が高度化し,テレワーク等を含む多様な働き方普及した社会において,通勤や業務コミュニケーションに関わる変化とその中で望ましいものを支援するための交通政策的知見を得ることである.2021年度は,サブテーマA「社会ネットワークとコミュニケーション手段分担を考慮した交流活動水準選択モデル」と,して社会ネットワークとコミュニケーション手段分担を明示的に考慮したコミュニケーション活動水準選択モデルの構築と数値事例を通じて,通信によるコミュニケーションと交通(移動)を伴うコミュニケーション(ミーティング)の量的水準が交通や通信の環境変化によってどのように変化するかを分析し,以下の成果を得た. (1)基本モデルの構築と均衡解の導出:2地域からなる地理空間を想定した提案モデルでは,任意の社会ネットワーク構造に対して一定の条件の下でコミュニケーション水準に関するNash均衡が存在し,均衡におけるコミュニケーション水準は社会ネットワーク上の位置と立地点に依存する. (2)数値事例分析:通信費用が低下した場合,通信によるコミュニケーションが増大する一方で交通を伴うコミュニケーションは微減し,コミュニケーションの総量としては増加する.特に通信によるコミュニケーションに関しては,郊外に立地する主体が都心に立地する主体よりも高い水準で行う.交通費用が低下した場合,交通費用の低減に伴って交通・通信の両方によるコミュニケーション水準が増加し,価格低下が進んだ範囲において通信から交通への代替が生じるケースがある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度中にサブテーマAの基本モデルの構築および数値分析を行い,上述の成果を得たことから,当初の計画通り進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,サブテーマB「立地選択を内生化した枠組みへの拡張」とサブテーマC「集積の経済を考慮した立地均衡モデルの構築・解析」を進める.サブテーマBには,基本モデルが想定した2地域からなる地理空間を多地域へ拡張することも含めており,数値解析にあたっては効率的な求解アルゴリズムの構築に努める.
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Causes of Carryover |
2021年度は,COVID-19感染症拡大の影響によって,分析手法等に関する情報収集のための研究打合せをオンライン形式で実施した.また,同様の目的で参加した学会がいずれもオンライン形式による開催となった.これらの学会の一部では,オンライン化に伴い参加費を無料とする措置が取られた.以上の理由から,旅費・学会参加費として使用予定であった助成金を次年度に繰り越すこととなった. 次年度には,助成金を解析用の新たな計算機ならびにオンライン形式の学会等への円滑な参加のためのPC周辺機器の購入に充当し,効率的な研究の推進を図る.
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