2022 Fiscal Year Research-status Report
犯罪がいつ起こるかを予測する:時期的犯罪予測の手法構築
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21K14365
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大山 智也 東北大学, データ駆動科学・AI教育研究センター, 助教 (80893776)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 安全・安心 / 犯罪予測 / 犯罪予防 / 時空間モデリング / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、犯罪予測研究で疎かにされてきた時間の側面に着目し、犯罪の発生する季節、曜日、時間帯などに関する詳細な予測手法の開発に取り組んでいる。本年度は、①曜日や時間に固有の効果とは独立に、未検挙の犯罪企図者・集団が活動し続けることで上昇する犯罪反復効果や、警察をはじめとした犯罪予防資源の動員による抑止効果によってもたらされる短期的な変動を検出することを目的として分析を行った。ここでは、ひとたび犯罪被害が発生した直後の数日~数週間以内に急上昇する被害水準に着目し、期待される持続期間がどの程度なのかを推定するため、状態空間モデル、時系列の異常検出手法の2つのアプローチで検討を行った。前者においては、季節、曜日、祝日、大規模イベント開催の影響といった、様々な時間スケールでの時期固有の犯罪誘引効果(前年度に分析したもの)を取り除いてトレンドの検出を行うべく、これらの変数を説明変数として投入したTime-varying Coefficient ModelやDynamic Generalized Linear Modelを適用した。このとき、犯罪類型ごとには日単位の分析を行うためには発生水準が低頻度な状況に対処するため、町丁目レベルで社会経済的特性や物理構造的特性が均質とみなせるクラスタにまとめ、このクラスタごとに分析を行った。後者の分析においては、非定常時系列に対するリアルタイムな変化点検出に用いられるBayesian Online Change Point Detectionにより、犯罪トレンドが急激に変化する時点の検出を試みた。結果として、異常検出手法の方が、より明瞭に短期的な変化を捉えることができることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に記載した内容の通り、研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでの検討で明らかにされた時間固有の犯罪誘引効果(比較的長期の変動)と事象依存の犯罪反復/抑止効果(短期の変動)を統合した上で、静的な立地環境からみてリスクが高い地理的ユニットにおいて、発生リスクの高い時点を求める。これによって、いつ被害が発生するのかの時期的犯罪予測を行い、実際の犯罪発生状況と照らし合わせることで手法の性能評価を行う。この2つの要因の組み合わせ方は複数考えられるため、さまざまなアプローチを試す。
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Causes of Carryover |
本年度においては、購入を計画していた地理空間情報・統計情報がオープンデータなどの公開情報で代用できたことから、物品費の削減につながった。最終年度においては、提案した犯罪予測手法の予測性能の検証において人流ビッグデータなどを用いた検証が必要と判断し、これを購入して計画を遂行することとする。
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