2021 Fiscal Year Research-status Report
Verification of ferromagnetism in Li-intercalated graphene
Project/Area Number |
21K14533
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
一ノ倉 聖 東京工業大学, 理学院, 助教 (00792566)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グラフェン / ワイドギャップ半導体 / リチウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではLi侵入グラフェンでのフラットバンド由来の強磁性の検証を目指している。強磁性を発現させるにはフラットバンドの近傍でフェルミ面を精密に制御する必要がある。研究課題申請時は2層グラフェンにLiが侵入したものを想定していたが、本年度、グラフェンの層数を3層以上へと増加させたところ、層数増加に伴いフラットバンド近傍でフェルミ面が徐々にシフトしていくことを見出した。これは、強磁性が発現する条件を探索する上で層数の自由度もあるということを示している。さらに、第一原理計算により2つの知見を得た。一つ目として、上記のフラットバンドのシフトはLiが全ての層間にインターカレートしたモデルでは説明できず、1層おきに侵入しているモデルで良く説明できることがわかった。2つ目として、Li侵入後、グラフェンと基板の界面に大きなショットキー障壁が存在していることがわかった。このショットキー障壁を絶縁層として利用することにより、基板背面がゲート電極として利用できると考えられる。従って、この系では層数とゲート電圧の2つのパラメータによりフェルミ面制御によって強磁性条件を探索できることがわかった。 また、グラフェンのホールバーを形成して電気伝導測定を行うための加工条件を検証した。酸素プラズマエッチングにより表面を除去できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究課題申請時は2層グラフェンにLiが侵入したものを想定していたが、グラフェンの層数を3層以上へと増加させたところ、層数増加に伴いフラットバンド近傍でフェルミ面が徐々にシフトしていくことを見出し、強磁性が発現する条件を探索する上で層数の自由度もあるということがわかったため。また、Li侵入後、グラフェンと基板の界面に大きなショットキー障壁が存在していることがわかった。このショットキー障壁を絶縁層として利用することにより、基板背面がゲート電極として利用できると考えられ、この系では層数とゲート電圧の2つのパラメータによりフェルミ面制御によって強磁性条件を探索できることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、異常ホール効果の検出を目指し、電気伝導測定方法の改良を行う。グラフェンホールバーの加工において、グラフェン部分にダメージを与えない条件を探索する。また、その場電気伝導測定装置の端子数を6端子化する。
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Causes of Carryover |
今年度は電気伝導測定を開始せず、ロックインアンプの購入を見送ったため。
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[Presentation] Caがインターカレートしたグラフェンにおける2重ディラックバンドと層間電子状態2022
Author(s)
一ノ倉聖, 德田啓, 福嶋隆司朗, 堀井健太郎, 遠山晴子, 秋山了太, 出田真一郎, 田中清尚, 清水亮太, 一杉太郎, 長谷川修司, 平原徹
Organizer
日本物理学会第77回年次大会
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[Presentation] Van Hove Singularity in Thickness Controlled Li-Intercalated Graphene2021
Author(s)
S. Ichinokura, M. Toyoda, M. Hashizume, K. Horii, S. Kusaka, S. Ideta, K. Tanaka, R. Shimizu, T. Hitosugi, S. Saito, T. Hirahara
Organizer
The 9th International Symposium on Surface Science (ISSS-9)
Int'l Joint Research
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[Presentation] First-Principles Analysis on Band alignment of LiTi2O4 and SrTiO3 to Understand Ion Diffusion Modulation via Substrate Choice2021
Author(s)
A. Nakanishi, K. Nishio, S. Ichinokura, K. Shimizu, Y. Kobayashi, N. Nakamura, D. Imazeki, R. Shimizu, T. Hirahara, T. Hitosugi, and S. Watanabe
Organizer
The 9th International Symposium on Surface Science (ISSS-9)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Liインターカレートしたグラフェンにおける van Hove特異性の層数依存性2021
Author(s)
一ノ倉 聖, 豊田 雅之, 橋爪 瑞葵, 堀井 健太郎, 日下 翔太郎, 出田 真一郎, 田中 清尚, 清水 亮太, 一杉 太郎, 斎藤 晋, 平原 徹
Organizer
2021年日本表面真空学会学術講演会
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[Presentation] SiC基板上のCaインターカレートグラフェンにおける超伝導2021
Author(s)
遠山晴子, 秋山了太, 橋爪瑞葵, 一ノ倉聖, 飯盛拓嗣, 松井朋裕, 堀井健太郎, 佐藤瞬亮, 保原麗, 遠藤由大, 福山寛, 平原徹, 小森文夫, 長谷川修司
Organizer
日本物理学会 2021年秋季大会
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[Presentation] Caインターカレート誘起フリースタンディンググラフェンにおける構造と超伝導の相関2021
Author(s)
遠山晴子, 秋山了太, 佐藤瞬亮, 遠藤由大, 保原麗, 堀井健太郎, 橋爪瑞葵, 一ノ倉聖, 平原徹, 飯盛拓嗣, 小森文夫, 松井朋裕, 福山寛, 長谷川修司
Organizer
日本表面真空学会 2021年度関東支部講演大会
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