2021 Fiscal Year Research-status Report
ペルフルオロキュバンを基盤とした炭素σ共役分子の開発
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21K14608
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 みどり 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (50807055)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | cubane / electron acceptor / electron transfer |
Outline of Annual Research Achievements |
箱型分子であるキュバンが完全にフッ素化されたペルフルオロキュバンは,理論計算により「内部に電子を閉じこめる」と予測されているが,その合成は達成されていなかった。申請者は2019年度~2020年度の科研費(若手研究)課題としてペルフルオロキュバンの合成に取り組み,その単離に成功した。本研究ではペルフルオロキュバン内に閉じこめられた電子の挙動,特に分子内電子移動に着目する。具体的には,ペルフルオロキュバン多量体を合成して電子を閉じこめ,この電子が分子全体に非局在化し安定化されることを実証する。 当該年度においては、対象のペルフルオロキュバン単量体の電子受容性について精査し、理論計算による予測の通り、フッ素置換の効果によって低準位のLUMOを持つことを明らかにした。また、「電子がペルフルオロキュバンの箱の中に閉じ込められた状態」を観測することに成功した。この成果は、本研究の最終目的である「箱の中の電子の分子内移動を確かめる」に対して重要な前提を証明したこととなり、本研究の礎になるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、まずペルフルオロキュバンを複数繋げた分子(オリゴマー)を合成するつもりであったが、まずは単量体の性質を精査する方針に切り替えた。よって、当該年度の成果は計画とは少し違っているが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、単分子伝導度の評価によって、ペルフルオロキュバン単量体とペルフルオロキュバンオリゴマーを比較し、分子内電子移動の挙動を調べたいと考えている。まずはペルフルオロキュバン単量体と、フッ素化されていないキュバン単量体の伝導度を比較することで、炭素フッ素結合の導入による差異を確認する。次にペルフルオロキュバンオリゴマーの合成を行い、伝導度の測定を行う予定である。
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