2021 Fiscal Year Research-status Report
Oscillatoxin Fの細胞株選択性に着目した抗がん剤シーズ開発
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21K14793
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
花木 祐輔 香川大学, 農学部, 助教 (70897818)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Oscillatoxin / 抗がん剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋天然物・oscillatoxin Fは、一部のがん細胞株に対して選択的な増殖抑制活性を示すことから副作用が少ない抗がん剤となり得る。本研究では、oscillatoxin類の増殖抑制における構造活性相関を調べること、分子プローブを合成して標的分子および作用機序を明らかにすることを目的としている。 今年度は、スピロエーテル部分の構造が異なる複数の誘導体の細胞増殖抑制活性を調べることにより、A環上の官能基配置の違いによって細胞株選択性が変化することが判明した。また、oscillatoxin Fは分子疎水性が高いことから血清中のアルブミンなどに取り込まれてしまい、細胞毒性を十分に発揮していないことが示唆された。 そこで次に、A環上の官能基配置を変化させつつ分子疎水性を低下させるべく、新しい誘導体の開発に取り組んだ。現在までに、側鎖に分子プローブを導入することを見据えた新しい合成経路を用い、oscillatoxinの誘導体合成における鍵中間体を供給することに成功している。 以上の結果より、次年度以降は鍵中間体を利用して効率的に誘導体を供給し、細胞株選択性に優れたものを探索することができる。さらに、新規誘導体をすみやかに分子プローブ化し、標的分子のアフィニティ精製を実施することも可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
oscillatoxin類の細胞増殖抑制活性における構造活性相関研究を行い、活性発現に必要な構造要因を調べることができた。また、oscillatoxinの分子プローブ化を見据えた合成経路の開発にも進展が見られ、新規誘導体の開発ならびに標的分子探索を行うための準備が整った。 従って、今年度はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
新規合成経路を用いてoscillatoxin Fならびにその誘導体を供給する。細胞増殖抑制活性に優れた誘導体にビオチンタグを導入した分子プローブを合成し、細胞破砕液からoscillatoxin結合タンパク質を精製する。これらのタンパク質の各種がん細胞株における発現量などを解析することにより、oscillatoxinの細胞株選択的な増殖抑制に関与しているものを選抜する。
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Causes of Carryover |
研究計画のうち作用機構解析の一部を次年度に行うことにした。作用機構解析には高額な抗体やキットを用いることから、次年度使用額が発生した。
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Research Products
(4 results)