2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of genetic factors controlling Tocopherol biosynthesis pathway in soybean (Glycine max L. Merr.)
Project/Area Number |
21K14835
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
朴 チョル 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 任期付研究員 (00886913)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Functional food / Glycine max / Quantitative trait loci / Soybean / Tocopherol / Vitamin E |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ダイズ種子のα-トコフェロール含有率を向上させるため、既存のトコフェロール生合成に関連する遺伝子に加え、新たな生合成に関連する遺伝子(座)の同定及び機能解析を目的とする。 今年度では、異なるトコフェロールの組成比率を示したダイズ品種「K099」と「Fendou 16」に由来するF6世代の組換え自殖系統分離集団に対して、2年間の圃場栽培で収穫した種子を高速液体クロマトグラフで分析し、4種類のトコフェロール (α-, β-, γ-, δ-)含有量および含有率を解析した。次世代シーケンス解析(GRAS-Di)を行い、高密度の連鎖地図(3,610マーカー)を構築した。量的な遺伝子座(QTL)の解析の結果、トコフェロール含有量と含有率に関連する計23個の有意なQTLが検出された。検出されたQTLのうち、δ-Toc、β-Toc、γ-Tocの含有量および含有率に関連する一つQTLクラスター(qMMδ、QTL寄与率=12.1~46.8%)はこれまでに報告されていない、新規QTLであった。QTLクラスター qMMδのゲノム領域にトコフェロール生合成に関与するメチル化遺伝子が存在し、qMMδの原因候補遺伝子として同定した。また、同定された候補遺伝子の機能を解析するため、DNAマーカー選択法を用いて、qMMδの近同質遺伝子系統(NIL)を作成した。さらに、トコフェロール生合成に関連する各QTL集積系統の作成も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度では、ダイズ品種「K099」と「Fendou 16」に由来するF6世代の組換え自殖系統(分離集団を用いてトコフェロール含有量と含有率に関連する計23個の有意なQTLを検出した。特に、δ-Toc、β-Toc、γ-Tocの含有量および含有率に関連する一つ新規QTLクラスター qMMδを検出した。加えて、新規QTLクラスター qMMδのNILsを作成しており、トコフェロール生合成に関連する各QTL集積系統の作成も開始した。これらの結果により、実験計画当初の目的は達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した新規QTLクラスター qMMδのNILsを用いて同定した候補遺伝子の発現量解析を行い、遺伝子の機能を検証するとともに、トコフェロール生合成経路の制御機構を明らかにする。また、本研究で同定したトコフェロール生合成経路を制御する遺伝子とこれまで確認されたα-Toc生合成の促進遺伝子(γ-TMT3など)の集積系統を作成する。集積系統のα-Toc含有率を評価し、各遺伝子の効果を確認するとともに、高いα-Toc含有率を持つ高機能性ダイズ育種素材を創出する。
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Causes of Carryover |
コロナの蔓延による、学会参加など外部活動の計画変動と分析プロトコルの効率化により、試薬とキット購入品や委託費を削減することができた。 この差額をデータ解析の委託費等として次年度使用することで効率化を図る。
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