2021 Fiscal Year Research-status Report
Formation process and development of the theory of landscape planning of shrines as public spaces
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21K14871
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水内 佑輔 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40768602)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神社 / 風致 / 歴史的緑地 |
Outline of Annual Research Achievements |
神社は、環境保全・歴史文化・防災・観光・地域づくりなどに置いて着目される、日本に独特の公共的な緑地であるが、地域の文脈に即して戦略的に空間計画に組み込む際には、神社の多義的性格を踏まえて、その環境形成過程を丁寧に把握する必要がある。本研究は、いまだ明らかでない神社風致計画論の形成過程と展開を明らかにすることを目的として、神社風致計画論の形成の中心人物の言説と、都道府県神社行政における神社風致計画論の影響について、言説と空間的変遷の分析から把握を行うことを目的としている。 2021年度は、神社風致計画論の形成の画期と位置付けられる明治神宮造営に着目し、なかでも明治神宮の造営に携わり風致的言説の形成に大きく寄与した造園学者・上原敬二の言説を検討をすることとした。具体的には、1910年代の明治神宮造営時に上原敬二が独自調査・作図した官国大社等の88社の図面を閲覧・電子複写を行ったほか、大正時代の東京五大新聞(東京日日新聞・報知新聞・時事新報・國民新聞・東京朝日新聞)を対象とした上原敬二の言説の把握を行った。また、明治神宮の風致が現在どのように評価されているかを把握した。 加えて、都道府県神社行政における神社風致計画論の影響の検証を行うため、造園学における神社風致計画に携わった人物の系譜の整備及び、橿原神宮を事例的に取り上げた仮説の構築を試みた。そして、第45回国際神道文化研究会「近代造園学から見た明治神宮/明治神宮から見た近代造園学 -宮内省(庭)から内務省(国土)へ-」を企画し、その仮説に対する議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の目標としていた上原敬二の神社風致計画論に関する資料収集がおおむね完了し、資料調査によって得られた仮説の発表等を行った。また、また、現在の明治神宮の風致の評価のされ方に関しての査読付き論文が掲載された。今後の調査予定である都道府県神社行政における神社風致計画論の影響を把握するための、現地調査のためのUAVを購入し、効率的な調査方法の構築に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
上原敬二の神社風致計画論についてとりまとめ査読付き論文への投稿を予定している。滋賀県と大分県で予定している神社林の現地調査に関しては、効率的な調査を進めるために新たな空間情報技術の導入の検討も行う予定である。
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Causes of Carryover |
購入を予定したGNSSレシーバーの発売と納品が延期されたためである。当該物品は2022年度に購入を予定している。
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