2021 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of phytoplankton bloom dynamics focused on sea-ice types
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21K14894
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和賀 久朋 北海道大学, 北極域研究センター, 研究員 (30869805)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 北極海 / 植物プランクトン / 海氷 / 衛星リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
放射伝達モデルを用いて、Dirty Iceをはじめとする様々な海氷タイプのアルベドスペクトルを算出した。海氷面のアルベドスペクトルは、[その海氷面を占める各海氷タイプの比率]×[それぞれのアルベドスペクトル]を積算したものであるため、各海氷タイプのアルベドスペクトルと海氷面のアルベドスペクトルから各海氷タイプの比率を推定できる。この関係式に基づき、本研究では、衛星光学センサーMODISが観測したアルベドスペクトルから各海氷タイプの比率を推定する手法を構築した。 上述のDirty Ice分布推定手法の構築と並行して、衛星光学センサーMODISを用いて植物プランクトンブルームをモニタリングする手法も構築した。植物プランクトンバイオマスの時系列データに対してガウス関数を当てはめ、植物プランクトンブルームの規模や期間、発生日を統計的に推定した。さらに、衛星マイクロ波センサーAMSR2を用いて推定した海氷融解日と、ガウス関数により推定した植物プランクトンブルーム発生日を比較し、植物プランクトンブルームのタイプ(海氷下・氷縁・開放水面ブルーム)を同定した。 また、Dirty Iceの割合が大きいボーフォート海沿岸域での観測航海に参加し、衛星データ解析結果の検証に使用する現場データを取得した。しかしながら、非乗船の関係者が新型コロナウイルスに感染したことにより、観測航海は日程の半分程を終えたところで中断を余儀なくされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Dirty Ice分布推定手法の構築、およびガウス関数を用いた植物プランクトンブルームタイプの同定は既に国際学会および査読付き国際学術誌から出版されている。以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Dirty Iceの分布割合が異なる複数の検証海域を設定し、各検証海域で卓越する植物プランクトンブルームタイプを同定することで、Dirty Iceが植物プランクトン増殖過程に与える影響に関数仮説を立案する。さらに、現場データを用いてこの仮説を検証し、その正当性を立証することで、植物プランクトンブルームに対するDirty Iceの影響を解明する。また、2022年度にボーフォート海沿岸域での観測航海を予定しており、検証に使用する現場データをより充実させる予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会がオンライン開催になったことで、予定していた旅費の支出が無くなった。旅費に計上していた経費は、オープンアクセスジャーナルへの論文出版費に充てたが、少額の次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、2021年度の観測航海で不足していた機材・消耗品の購入に充てる。
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