2021 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流路を活用した間隙構造中におけるコロイドの目詰まり・破壊現象の解明
Project/Area Number |
21K14939
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉本 卓也 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70899509)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コロイド / 沈着 / 輸送現象 / 界面電気現象 / 凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,マイクロ流路を活用した目詰まりの形成-破壊過程の評価系の構築し,コロイドの帯電・凝集特性評価を相補的に用いながら,目詰まりを引き起こす沈着複合体の形成-破壊およびその物理性の制御機構の解明を目的とする.採択初年度である当該年度は,マイクロ流路を活用した実験系の構築,および基礎情報となる沈着および凝集に関する実験データの解析を行った.当該年度の研究成果は,以下の通りである. マイクロ流路を用いた観察系として,単純なモデルとして微細な流路内に円柱を配置した流路をフォトリソグラフィにより作製した鋳型を使い,PDMS樹脂により作製した.現在作製したマイクロ流路を使って,沈着複合体の付着形成および破壊に関する直接観察測定を行っており,データを蓄積しつつある. 平行して,沈着されるコレクター粒子表面の電荷不均一性を考慮した流体力学的な軌道解析に基づく沈着シミュレーション結果と実測値の比較を行い,不均一性の考慮によりシミュレーション結果の実験値に対する予測性が向上するという結果が得られた.現在この内容を投稿論文としてとりまとめ,投稿準備中である. 加えて,沈着を予測するための基礎情報として,共同研究者とともに流れ場中の凝集への多価イオンの影響について,実験とその理論解析にも取り組んだ.拡散電気二重層理論を利用した凝集速度理論式を実装し,コロイド粒子の帯電量についての実測値を相補的に用いることで,流れのある場合と流れのない場合の凝集速度の実測値の双方について,凝集速度を半定量的に予測可能であることを示した.この内容についても現在国際誌への投稿準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究計画申請時から,現在の所属に異動したため,当初の予定と異なる点はあるものの研究計画実施に必要な実験系の設定および構築と実験の実施に取り組めている.着実にデータの蓄積を進められているだけでなく,関連する沈着シミュレーションの解析も進められていることから,研究課題の遂行は順調に進んでいると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当該年度の研究成果を活用し,今後の研究を推進していく.現在構築した実験系を用いたデータ蓄積をすすめ,目詰まりの形成-破壊現象を流動条件やコロイドの帯電・常習特性に基づいて解釈可能か検討を試みる.
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