2021 Fiscal Year Research-status Report
PKA 局在の負の制御因子が高次脳機能に果たす性特異的な役割の解明
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21K15006
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤井 一希 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (10881609)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 短鎖ペプチド / PKA / AKAP / 神経科学 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のゲノム情報の読み取り技術の革新的な進歩により、今まで見逃されてきたり全長 100 アミノ酸以下の短いペプチドをコードしうる多数の Open reading frame (ORF) の存在が報告されている。本研究では、新規に発見された中枢神経系限局的に発現する短鎖ペプチドであるA-kinase anchor protein inhibitor 1(Akain1) 遺伝子に着目し、その高次脳機能における役割を明らかにすることを目的としている。Akain1 は培養細胞系において、プロテインキナーゼA (PKA) の細胞内局在を打ち消すことから、内在性唯一の“負の PKA シグナル制御因子”と考えられるがその生理的意義は不明であった。脳機能におけるAkain1の役割を探索すべく、独自に作製したAkain1 欠損マウスを用いて複数の行動試験を組み合わせた網羅的行テストバッテリーを実施したところ、いくつかの行動表現型に異常が見られ、またそれらの表現型に性差があることが明らかになった。Akain1 の脳機能における役割を解明すべく、Akain1 ペプチド領域にエピトープタグ配列をノックイン (KI) したマウスを作製した。タグ抗体を用いた免疫染色により、大脳皮質の介在神経細胞や小脳のプルキンエ細胞に特異的にAkain1 が発現することが示唆された。また、Akain1特異的モノクロ-ナル抗体を作製し、内在性のAkain1 においても同様の細胞種でタンパク質レベルでの発現を確認し、Akain1の脳内での発現細胞を特定した。加えて、Akain1 欠損マウスの脳神経細胞において、PKA の細胞内局在が野生型と比較して変化していることが明らかになった。現在、これらの細胞種特異的なAkain1 の機能を解明すべく実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タグ抗体を用いた免疫染色と新たに作成したAkain1 のモノクローナル抗体により、大脳皮質の介在神経細胞や小脳のプルキンエ細胞においてAkain1 が特異的に発現することを確認した。加えて、Akain1 欠損マウスの脳神経細胞において、PKA の細胞内局在が野生型と比較して変化していることが明らかになった。また特定した細胞種特異的なAkain1欠損を行うためloxP 配列を用いたAkain1 flox マウスを作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
Akain1 タグマウスをもちいて、Akain1の発現に性差があるかを検討するとともに、あらたに作製したAkain1 flox マウスを用いることで細胞種特異的なAkain1 の機能に関して検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
想定していた実験に用いるマウスの繁殖が今年度内に間に合わなかったため、次年度の実験を行う計画に変更したため
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