2023 Fiscal Year Annual Research Report
近位ビオチンラベル法を用いた核内構造体の動作機構の解明
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21K15012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗原 美寿々 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (40763074)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PML body / 核内構造体 / 近位ビオチン標識 / 遺伝子転写制御 / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、特定の立体構造を取らないタンパク質の天然変性ドメインが、微弱な分子間相互作用によって、核小体やPML bodyをはじめとした「非膜オルガネラ」の形成を制御しているのではないかという考え方が大きな注目を浴びている。非膜オルガネラの形成機構に関する情報が急速に蓄積しつつある一方で、これらの非膜オルガネラがどのようにしてその分子機能を発揮しているのかについての情報は、実は非常に限られているのが現状である。その大きな理由の一つが、天然変性ドメインが仲介する一つ一つの相互作用があまりにも微弱であるために、古典的な免疫沈降や生化学的な複合体精製などの手法ではその相互作用の対象となる分子の全容を明らかにすることができなかったという技術的な限界が挙げられる。本研究では、微弱かつ一過的な分子間相互作用でも高感度で検出することが可能な近位ビオチンラベル法を用い、代表的な非膜オルガネラであるPML bodyと相互作用する分子を明らかにする。研究開始当初は、APEXをPML遺伝子座に挿入したマウスES細胞を用いて、PML body構成因子の同定を試みたが、既知の因子に加えて、非特異的な因子が多数同定されたことからAPEX-PMLを安定発現するES細胞を作製し直し解析を行った。この際、PMLの変異体にAPEXを融合させたタンパク質を安定発現する細胞も用いて解析することで、機能的なPML bodyに含まれる構成成分を解き明かすことに成功した。申請者のこれまでの解析から、PML bodyはY染色体短腕領域に位置する遺伝子群の転写を制御することが判明している。そこで同定された因子のうち、遺伝子の転写活性へ影響を与えるものがあるかを解析したところ、いくつかの因子がY染色体遺伝子群の転写に関わることが判明した。
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