2021 Fiscal Year Annual Research Report
マルチオミクス解析に基づくKRAS変異型胆管癌の治療標的の探索
Project/Area Number |
21K15312
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山村 美奈子 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (10791915)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 胆管癌 / KRAS変異 / グルタミン代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、KRAS遺伝子変異胆管癌における治療標的としてグルタミン酸代謝に着目し,マルチオミクスを用いた統合解析と臨床病理学的所見を融合させ新たな治療標的の探索を目的とした。in vitroの検討では胆管癌細胞株として、TFK1、CCKS1、HUCCT1を用い、各細胞株のグルタミン依存性を検討した結果、CCKS1のみ有意なグルタミン依存性を認めた。その結果を受け、これらの細胞株に対してKRAS遺伝子を含めた47遺伝子のカスタムパネルを用いたDNAターゲットリシークエンスを行い、結果を解析中である。続いてGLS1特異的阻害剤のCB-839投与による胆管癌細胞株の増殖抑制効果をWST1assayによって検討したが、有意な増殖抑制効果は認めなかった。そこで続いてグルタミントランスポーターのASCT2/SLC1A5に着目した。まず胆管癌でのASCT2の発現について、各胆管癌細胞株、正常胆管上皮由来の細胞株(MMNK-1)を用いて、免疫染色、ウェスタンブロット及びqPCR法を用いて発現検討を行ったところ、胆管癌細胞株ではASCT2の強い発現を認め、qPCRでは、MMNK-1細胞株に比べ、胆管癌細胞株では有意に高い発現を認め、続いてASCT2阻害薬であるV-9302 を用いて、胆管癌細胞株対する抗腫瘍効果を検討した。WST1アッセイを用いた増殖アッセイでは、TFK1のみに有意な増殖抑制効果がみられた。この結果をうけ、TFK1のV-9302投与群、非投与群を用いたRNAシークエンスを行い、V-9302投与による発現変動遺伝子を現在検討中である。TFK1に対する増殖抑制効果の機序の検証としては浸潤能やアポトーシス誘導効果など検討したが、現時点ではこれらの検討では治療群、非治療群に有意差はみられなかった。
|