2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of molecular mechanism of substrate-dependent transport function of SLC19A3 and its relevance to pathology
Project/Area Number |
21K15318
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山城 貴弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (20826614)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動物種差 / SLC19A3 / ピリドキシン / BTBGD / Leigh脳症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、チアミン(ビタミンB1)トランスポーターとして知られるSLC19A3について、新たに見出されたピリドキシン(ビタミンB6)輸送機能の動物種差(ヒトSLC19A3は輸送機能を有し、マウスSlc19a3は輸送機能を持たない)に着目し、基質依存的な輸送機能の分子機構の解明を目指すと共に、SLC19A3の遺伝子変異に起因する疾患とピリドキシンとの関連性を探るものである。 トランスポーターの基質認識において重要な役割を果たす膜貫通領域(TMD)に焦点を当て、ヒトSLC19A3とマウスSlc19a3の部分アミノ酸配列を組み合わせたキメラ体を作製し、HEK293細胞に一過性に発現させてピリドキシン輸送機能を評価した。その結果、ヒトSLC19A3の3,4,6番目のTMDが、ピリドキシン輸送機能に関わることが明らかとなった。この結果は、3,4,6番目のTMD内のヒトSLC19A3特異的アミノ酸残基が、ピリドキシン輸送機能に関与し、そのアミノ酸残基の差異が動物種差の要因となっていることを示唆するものである。 SLC19A3の遺伝子変異は重度の脳神経変性疾患であるBTBGD(biotin-thiamine-responsive basal ganglia disease)やLeigh脳症の原因となることが報告されている。そこで、報告されているSLC19A3の遺伝子変異体を作製し、HEK293細胞に一過性に発現系させてピリドキシン輸送機能を評価した。その結果、13種の変異体において野生型に比べてピリドキシンの輸送活性の低下がみられた。この結果は、BTBGDやLeigh脳症の病態にピリドキシンが関与している可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトSLC19A3とマウスSlc19a3とのキメラ体での解析により、ピリドキシン輸送機能に関わるヒトSLC19A3のアミノ酸配列領域を絞り込むことができた。さらに、SLC19A3遺伝子変異に起因する疾患へのピリドキシン関与の可能性も見出すことができた。以上より、おおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトSLC19A3のピリドキシン輸送機能に関与することが示唆されたTMDの中で、マウスと異なるアミノ酸残基に焦点を当て、部位特異的変異導入法によりピリドキシン輸送機能に関与するアミノ酸残基の同定を行う。 SLC19A3の遺伝子変異体について、チアミン輸送機能の評価も行い、遺伝子変異がピリドキシン及びチアミン輸送機能に及ぼす影響を比較解析する。さらに、この結果と前項の解析から得られた輸送機能の分子機構情報との整合性を検証する。これらにより、SLC19A3遺伝子変異に起因する病態へのピリドキシン補給の必要性の明確化を目指す。
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