2021 Fiscal Year Research-status Report
ミクログリアのパトロール機構と神経系細胞との相互作用の時空間的解析
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21K15330
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 祐季 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (10754955)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミクログリア / 脳発生 / 大脳 / 神経発生 / 血管 / ライブイメージング / マクロファージ / ペリサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生期の脳におけるミクログリアの移動機構について、周囲の神経系細胞や血管との相互作用に着目しながら研究を推進した。 ミクログリアが血管を足場にして移動するメカニズムについて解析を行い、血管を被覆する細胞であるペリサイトの関与についても調査した。ペリサイトがミクログリアの移動に関与するかどうかは解析中であるが、ペリサイトがミクログリアの生存維持や増殖を助ける機能を有することについて、ペリサイト除去マウスモデルでの解析、ペリサイトとミクログリアの共培養実験等を通じて明らかにした。抗Platelet-Derived Growth Factor Receptor beta (PDGFRb)抗体をin uteroでマウス胎仔脳室内に投与することによってペリサイトを除去すると、胎仔脳実質内のミクログリアの数が減少し、ミクログリアによる未熟な神経系細胞の分化を促進するはたらきが十分になされず、脳発生に影響が現れることを見出した。この研究は、2021年11月にJournal of Neuroscience誌にアクセプトとなり、2022年1月に掲載された。また、ジャーナルのFeatured Researchとして紹介された。 また、生きた胎仔の脳内細胞現象を捉えるための「二光子顕微鏡を用いたin vivo観察システム」の開発・改良にも取り組んできた。すでに観察が達成できている胎齢14日目マウスより早期の胎生12日目や胎生13日目のマウスに対するライブイメージングが可能になってきた。この観察システムを利用して、生体内におけるミクログリアや脳室内腔マクロファージの動態について理解を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って順調に研究が進んでおり、胎仔脳内におけるミクログリアの移動機構と血管との関連についてより理解が深まった。そして、その過程で血管の周囲に存在するペリサイトがミクログリアのの生存維持や増殖を助ける機能を有することを発見した。この研究については、上述のように論文を発表した。 また計画を進めるなかで、脳室内腔マクロファージが脳実質内に出入りする現象を見つけ、マクロファージのミクログリアポピュレーションへの貢献具合についても現在評価を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)胎生早期における脳室内腔マクロファージとミクログリアの挙動と動態の理解 脳スライス培養および二光子顕微鏡によるin vivo観察を通じて、胎生12日目の胎仔脳において「脳室内腔マクロファージが胎生早期に脳実質に入り込む」現象を捉えていることから、このメカニズムについて解析を行う。 2)脳室内腔マクロファージからミクログリアへと変容を促す環境シグナルの解明 胎生12日目のマウスから回収したGFPに標識された脳室内腔マクロファージを、in uteroで同じ胎齢の別個体のマウス脳実脳室内に移植を行うと、数日後には移植したマクロファージがミクログリアに性質変化した。したがって、マクロファージは実質に侵入後に周囲の細胞からの環境シグナルを受容すると考えられる。そこで、マクロファージと脳実質内の細胞(神経系細胞、血管構成細胞、ミクログリア)との共培養を実施し、マクロファージの性質変化について評価する。次に、トランスクリプトーム解析を実施し、マクロファージからミクログリアへの性質変化を促進する分子について候補を絞る。その分子について、過剰発現あるいはsiRNAによるノックダウン、あるいはノックアウトマウスの解析により調査する。 3)母体感染モデルにおける胎仔内内ミクログリアの動態や機能の変化 母体炎症時におけるミクログリア活性化と神経系細胞への影響について解析を行う。ウイルス感染を模倣したpoly(I:C)や細菌感染を模したLipopolysaccharideの母体腹腔内投与により母体炎症モデルを用意し、胎仔脳のスライス培養下ライブイメージングによりミクログリアの挙動や周囲の神経系細胞との相互作用の変化について調査を進める。
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Research Products
(10 results)