2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the novel intracellular signaling pathways for sleep/wake regulation
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21K15339
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北園 智弘 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 特別研究員(PD) (40826517)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 睡眠 / 覚醒 / シグナル伝達 / キナーゼ / プロテオーム / Rho GTPase |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では研究代表者が所属する研究室において近年発見された新規睡眠制御分子SIK3の上流、および、下流のシグナル伝達経路の全容を明らかにすることを目的としている。 SIK3はAMPKファミリーに所属するキナーゼであり、このファミリーはLKB1、TAK1、CaMKKβという3種類のキナーゼに制御されていることが知られている。昨年度までに、LKB1ノックアウトマウスでは、ノンレム睡眠時間と睡眠要求の指標であるノンレム睡眠時デルタ波密度が減少することを明らかにし、LKB1がSIK3の上流で睡眠覚醒を制御していることが確かめられた。さらに本年度は、TAK1ノックアウトマウスでは睡眠表現型に異常は見られず、CaMKKβノックアウトマウスではノンレム睡眠時デルタ波密度が増大し、レム睡眠時間が増加することを明らかにした。CaMKKβノックアウトマウスの表現型はSik3ノックアウトマウスとは大きく異なることから、CaMKKβはSIK3の上流因子ではなく、SIK3とは独立したシグナル伝達経路で睡眠覚醒を制御していると推測される。 本年度、研究代表者は、昨年度までの基質スクリーニングによって見出されていたグアニンヌクレオチド交換因子ARHGEF2がSIK3の基質であることを生化学的に証明し、さらに、このリン酸化がARHGEF2の細胞内局在を変化させていることを明らかにした。この細胞内局在はARHGEF2の活性と相関があると考えられる。また、ARHGEF2は低分子量Gタンパク質RhoAの活性化因子である。昨年度、RhoAの恒常的活性型変異型をマウス全脳で発現させたマウスについて睡眠測定を行ったところ、ノンレム時間とノンレム睡眠時デルタ波密度の減少することを見出した。以上のことから、RhoAがSIK3の下流で睡眠・覚醒を制御している可能性が高いことが明らかになった。
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