2021 Fiscal Year Research-status Report
The role of lipid signaling on mechanical stress induced alteration of bone formation.
Project/Area Number |
21K15341
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 啓 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10759202)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / メカニカルストレス / 脂質シグナル / 分化制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は骨組織のメカニカルストレス(機械的刺激)応答性骨形態制御における、脂質シグナル分子による細胞間情報伝達機構の解明を目指すものである。このため、2021年度では1) 骨芽細胞様細胞株のMS応答性脂質シグナル分子の探索と解析、2) 骨芽細胞様細胞株においてMS応答反応を伝達する脂質シグナル分子の同定の2つを目標に、短時間の機械的刺激によって放出される脂質シグナル分子の特定と、測定に適した条件の探索を行った。 我々は本研究に適した、一時的かつ強い荷重条件を設定するため、補助金を用いて細胞株、専用の遠心分離機スウィングローターおよび候補シグナル分子のELISA kitを購入し、様々な条件下で、細胞培養液中の脂質シグナル分子量が放出される条件の検討を行った。結果として、特定の細胞形態および分化段階において刺激前後の培養液中のシグナル分子量が変動すること、分化制御に関与する細胞培養液中のシグナル分子の有無によって、この変化が劇的に増大することを見出している。また、この脂質シグナル分子放出量の変化に関与するシグナル分子は機械的刺激と無関係に様々な分化制御に関与していることも我々は確認しており、その関連についても検討中である。 また一方で、シグナル分子の放出に適した条件と、シグナル分子の受容とそれによる分化制御に適した条件が異なっていることを見出しつつあり、細胞培養液を介した細胞間シグナル応答解析用の実験系の確立も含め、更なる解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の令和3年度前半は新型コロナウイルス禍により、海外からの細胞培養機器の購入および故障した装置の部品の入手が困難になり、実験系の立ち上げに時間を要した。 また上記の状況の中、本実験系で用いる新たな細胞培養液を用いた骨芽細胞様細胞株の実験系において、メカニカルストレス(機械的応力)に関連する未報告の作用が認められたため、これらの機能解析に時間及び労力を割く必要が生じていた。この結果はいくつかの学会において発表済みであ。これは本研究に関連する、独立した研究として2022年中の論文投稿を目指しており、現在はこの結果を踏まえて応力と脂質すぐなる分子に関しての研究を遂行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は骨組織のメカニカルストレス(機械的刺激)応答性骨形態制御における、脂質シグナル分子による細胞間情報伝達機構の解明を目指すものである。現在、1) 骨芽細胞様細胞株のMS応答性脂質シグナル分子の探索と解析、2) 骨芽細胞様細胞株においてMS応答反応を伝達する脂質シグナル分子の同定を部分的に達成しており、これを踏まえてより再現性の高い、さらに情報量の多い質量分析装置を用いた実験系の導入を進めている。 現在、我々は第一のターゲットであるシグナル分子の量的変化を市販のELISA kitを用いて測定している。さらに質量分析装置によるLC-MS/MSの定量的分析を行い、シグナル分子の量的変化をより高精度で測定するとともに、定性分析を行い、ターゲット以外の分子の分泌の有無についても解析を行う予定である。また、現在進行中である、脂質シグナル分子を含むと推測される「機械的刺激後の細胞培養液」を用いた実験系を確立し、機械的刺激で誘導された脂質シグナル分子が骨形成に与える影響についてを確立する予定である。 さらに、最終年度である令和4年において、研究計画の最終段階である3)マウス新生仔由来骨芽細胞や胎仔骨器官培養によるMS応答性脂質シグナル分子の分泌と作用の解析を行い、その効果を確認し、骨形態維持に関する脂質シグナル分子の機能を明らかにする。このためのマウス新生仔由来骨芽細胞を用いた実験系の確立を進めている。
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Causes of Carryover |
特定条件下での発現遺伝子の網羅的解析を目指し、外部委託によりRNA-seqと解析を行う予定である。 このため2021年度末にRNA-seq費用として60~70万円の使用を予定していたが、令和3年度前期の新型コロナウイルス禍による混乱により、実験機器の準備に遅れが生じたため条件検討が終了できず、結果としてRNA-seq解析が2022年度初めにずれ込んだ。
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