2021 Fiscal Year Research-status Report
癌細胞遊走におけるRif低分子量Gタンパク質の活性制御機構と機能の解明
Project/Area Number |
21K15365
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
星 京香 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00726995)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Rhoファミリー / Rif / SmgGDS / GDP-GTP交換因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
SmgGDSには全長のSmgGDS-607に加えてスプライシングヴァリアントであるSmgGDS-558が発現していることから、それらとRifとの連関について検討した。それらの精製タンパク質を用いてin vitro結合実験を行った結果、SmgGDS-558とSmgGDS-607はそれぞれRifと同等に結合することが示された。また、in vitro GEFアッセイの結果、それらはRifに対して同等のGEF活性を示した。一方、RhoAに対してはSmgGDS-607がSmgGDS-558よりも高いGEF活性を示した。次に細胞内におけるSmgGDSとRifとの結合について検討した結果、RifとSmgGDS-607との結合が確認されたが、RifとSmgGDS-558との結合は認められなかった。また、Rifの膜局在に必須なCAAXドメインのシステイン残基をセリン残基に置換したSAAX変異体はSmgGDS-607とは結合しなかったことから、細胞膜に局在しているRifがSmgGDS-607と結合すること示唆された。次に、GST-mDia1RBDタンパク質を用いたpull downアッセイにより、癌細胞における内在性Rifの活性について検討した。調べた全ての癌細胞株において、内在性RifがGST-mDia1RBDと共沈したが、SmgGDSをノックダウンしてもGST-mDia1RBDと共沈する内在性Rifの量には変化が認められなかった。また、細胞内に発現させた野生型RifとGTP結合型Rif変異体は同等にGST-mDia1RBDと共沈した。これらの結果から、Rifは細胞内では常時GTP結合型として存在し、SmgGDSは細胞内でRifに対するGEFとしては機能していないことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Triton X-114を用いた二相分配法によってプレニル化Rifと非プレニル化Rifを分離する実験に関しては、実験条件の確立に予想以上の時間を要したため、SmgGDSとRifのプレニル化との関係についての結果を得ることができなかった。一方、in vitroの結合解析、GEF解析およびGST-mDia1RDBを用いたRifの活性評価については予定していた解析をほぼ行うことができたことから、概ね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析からRifは細胞膜、細胞質、核膜、核内での局在を確認している。そのような細胞内局在の違いがRifのどのドメインによって制御されているのか検討する。特にRifのC末端側塩基性アミノ酸領域は細胞膜や核への局在に関与することが、他のRhoファミリー分子の研究から予想されるため、その領域にアミノ酸置換を導入し、細胞内局在に与える影響を検討する。同様にRifの細胞膜局在に必須と考えられるC末端のCAAXドメインのプレニル化にも着目する。また、核内におけるRifの役割を検討するため、Rifに核局在シグナル(NLS)または核外移行シグナル(NES)を付加し強制的に核に局在させたり核から排除したりすることで細胞・核形態、細胞浸潤、遺伝子発現などにおよぼす影響を検討する。細胞浸潤については、癌細胞塊の三次元培養系を用いて、細胞塊の中の細胞の位置とRifの細胞内局在との関係にも着目しながら解析する。そのため、細胞膜を赤色蛍光色素で可視化した上でGFP-Rifの細胞内動態をライブイメージングする。また、これらの実験では、内在性Rifの関与を排除するため、CRISPR/Cas9によってRifをノックアウトした癌細胞に野生型または各種変異型のGFP-Rifを発現させて解析に用いる。
|
Causes of Carryover |
一部の実験において実験条件の確立に予想以上に時間を要したため、当初の計画していた研究を一部実施することが出来なかった。そのため次年度使用額が生じた。実施出来なかった研究は、令和4年度の計画と合わせて実施する予定のため、当該助成金は令和4年度分の助成金と合わせて使用する。
|
Research Products
(2 results)
-
-
[Journal Article] Transferrin Biosynthesized in the Brain Is a Novel Biomarker for Alzheimer’s Disease2021
Author(s)
Hoshi K, Ito H, Abe E, Fuwa TJ, Kanno M, Murakami Y, Abe M, Murakami T, Yoshihara A, Ugawa Y, Saito T, Saido TC, Matsumoto K, Yamaguchi Y, Furukawa K, Arai H, Kanai M, Miyajima M, Arai H, Ogawa N, Akatsu H, Hashizume Y, Tateno H, Honda T, Hashimoto Y.
-
Journal Title
Metabolites
Volume: 11
Pages: 616~616
DOI
Peer Reviewed / Open Access