2022 Fiscal Year Research-status Report
癌細胞遊走におけるRif低分子量Gタンパク質の活性制御機構と機能の解明
Project/Area Number |
21K15365
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
星 京香 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00726995)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Rif / 核膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
内在性のRifの細胞内分布を解析するため、培養細胞を細胞質画分と核画分に分画し、それらの溶解液に含まれるRifをwestern blot解析した。その結果、調べた3種類の細胞株全てにおいて内在性Rifが細胞質画分と核画分の両方に含まれていることを見出した。Rifが核に局在することはこれまでに報告はないため、その核局在機構についてさらに検討することとした。そこで、RifのC末端領域のCAAXモチーフと塩基性アミノ酸領域(PBR)に着目し、CAAXモチーフのCをSに置換させたSAAX変異体と、PBRの5箇所の塩基性アミノ酸をグルタミンに置換させた5Q変異体を作製し、それらをYFP融合タンパク質として293T細胞に発現させた。共焦点レーザー顕微鏡解析の結果、YFP-Rif(WT)は細胞膜と核膜および核内に局在したが、YFP-Rif(5Q)とYFP-Rif(SAAX)は細胞膜と核膜への局在が認められず、YFP-Rif(5Q)は細胞質全体に、YFP-Rif(SAAX)は核内にそれぞれ局在した。興味深いことに、YFP-Rif(WT)発現細胞では核膜のチューブ状変形が認められたが、そのような核膜変形はYFP-Rif(5Q)とYFP-Rif(SAAX)の発現細胞では認められなかった。また、核局在シグナルを付加したYFP-Rif(WT)は核膜変形をより強く誘導し、核外移行シグナルを付加したYFP-Rif(WT)は核膜変形を誘導しなかった。以上の結果から、RifはPBRとCAAXを介して核膜に局在し核膜の形態制御に関与していることが示された。本年度 は、肺腺癌細胞株PC-9においてRifをCRISPR/Cas9によってノックアウトすることに成功し、そのノックアウトPC-9細胞に上記の各種YFP-Rifを安定発現させた細胞も樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rifの各種改変型コンストラクトを作製してそれらの細胞内局在と細胞形態との関係を明らかにすることができた。また、CRISPR/Cas9によってRifをノックアウトした肺腺癌細胞を作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
内在性Rifの細胞内局在を抗Rif抗体を用いた免疫蛍光染色法で解析する。抗Rif抗体は独自で作製したものの他、メーカーから購入した2種類を用いて検討する。次にRifの細胞内局在と機能との関連を解析するため、作成したRifの各種改変タンパク質のGTP型の量をGST-mDia1RBDタンパク質を用いたプルダウン解析によって検出する。また、Rifの細胞内局在と糸状突起形成能との関連をイメージングによって解析する。さらに、Rifはアクチン重合を促進することで転写因子SRFを活性化することが予想されるため、Rifの細胞内局在とSRF活性化との関係についてもレポーター解析によって検討する。また、Rif結合タンパク質として見出したSmgGDSがRifの細胞内局在の制御に関わっている可能性について検討する。Rifの細胞内局在と癌細胞浸潤との関連についても検討するため、細胞膜または核膜を赤色蛍光色素で可視化した肺腺癌細胞を用いて、マトリゲル中を三次元的に浸潤する際のYFP-Rifの局在変化と糸状突起形成・核膜変形についてライブイメージング解析する。
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Causes of Carryover |
当初の計画していた研究を一部実施することが出来なかったため次年度使用額が生じた。実施出来なかった研究は、令和5年度の計画と合わせて実施する予定のため、当該助成金は令和5年度分の助成金と合わせて使用する。
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Research Products
(1 results)