2021 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌において慢性腎臓病 (CKD) が担う分子機能的役割の解明
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21K15506
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小畠 浩平 広島大学, 病院(医), 助教 (10749998)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / CKD |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型B6マウス(8週齢)を用いてCKDモデルマウスを作製した。全身麻酔下に片側の腎を同定し、血管クリップを用いて腎血管阻血を21分間施行後に閉創した。2週間の経過観察後、再度全身麻酔を施行。対側腎(健側)の腎を同定し、腎動静脈を2-0絹糸を用いて結紮、離断して腎を摘出した。各タイミングで1匹あたり約200μl採血を行う予定であったが、腎摘時に採血を施行したマウスは衰弱、失血死したため採血用に別個にCKDモデルマウスを用意した。採取した血液から遠心にて血清分離した。血清を外注検査に提出し、BUN、Cr値を測定した。次に、対照群1匹、CKDモデルマウス2匹を4か月の経過観察後に尿路上皮を採材、RNA-seqに提出した。各CKDモデルマウスと対照群それぞれの比較において、CKDモデルマウスで10倍以上発現が上昇した遺伝子を抽出し、分子生物学的機能を調査した結果、それらの大部分の遺伝子が膀胱癌または他の固形癌において癌促進的な機能を有する事が判明した。また、RNA-seq結果をGen Set Enrichment Analysisで解析したところ、CKDマウスでは特定のがん関連シグナル伝達経路および炎症関連遺伝子群の発現が有意に亢進していることが判明した。現在、実際にCKDで膀胱発がんが促進されるか検証する目的で膀胱特異的発がん物質BBNを内服させ、対照群と比較して発がんが促進するか観察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CKDモデルマウスから必要な血清を得るための採血量が予想より多く、おそらくは手技的な問題もあり開始当初はマウスが衰弱、失血死したが、以降は問題なく計画を遂行する事ができており、予想通り有用ながん関連遺伝子の発現が複数亢進していることを確認することができた。発がん実験もおおむね問題なく経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
BBN内服終了後に膀胱を採材し、病理組織学的評価を行う。
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Causes of Carryover |
COVID19感染拡大のためいくつかの学会が中止になったため出張旅費が一部使用されなかった。翌年度分として使用する予定である。
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