2021 Fiscal Year Research-status Report
血中エクソソームを基軸とした自閉症スペクトラム障害の病態理解
Project/Area Number |
21K15637
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
植田 尭子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 神経薬理研究部, リサーチフェロー (80850693)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム / autism spectrum disorder / 臓器連関 / CHD8 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自閉症スペクトラム障害(Autism spectrum disorder, ASD)の症状と血中エクソソームとの関連を明らかにする。ASDは社会性行動やコミュニケーションの障害、興味の著しい限局を主な特徴とする発達障害群である。ASDには遺伝的要因が関与するため、脳外部での変化が血液循環を介して脳機能不全をもたらす可能性が考えられるが、その実態は明らかでない。エクソソームは細胞から分泌される脂質二重膜で囲まれた小胞であり、タンパク質、核酸、脂質などの様々な生理活性物質を、隣接する、または遠隔の組織の細胞に伝搬する役割を持つ。そこで本研究では、ASDの病態形成に関与する血液因子としてエクソソームを仮定し検証する。ASD関連遺伝子の変異型マウスから採取したエクソソームを野生型マウスに投与し、ASD様行動が誘導されるか検証する。そのメカニズムとして、内包されるmicroRNA (miRNA)に着目し、その変化とASD病態形成との因果関係をin vitroやin vivoで解析することを目指す。 2021年度では、エクソソームを回収するためのマウスの交配、繁殖、および表現型解析のための行動試験系の確立をおこなった。また、血液中からエクソソームを分離する方法の検討、およびin vitroでの機能解析のため、マウス脳内細胞の培養系の確立を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス飼育環境の変化により当初計画よりマウスの繁殖予定に大幅な遅れが生じたため、2021年度は血液中からエクソソームを回収する方法の予備検討とin vitroでの機能解析のためのマウス脳内細胞の培養系の確立を中心に進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で確立した手法を用いて、ASD関連遺伝子の変異による血中エクソソームの変化の解析と、それを脳内細胞へ暴露した場合の変化を解析する。また、引き続きマウスの繁殖を進め、生体での機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度中に実施予定であった解析用の試料を入手できなかったため。試料は次年度早々に得られる予定であり、得られ次第、次年度使用額を解析に使用する。
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