2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of In vivo dosimetry technique for radiotherapy in consideration of liner energy transfer
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21K15796
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
松本 真之介 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 主任研究員 (10742744)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重粒子線治療 / 放射線計測 / インビボ測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は高linear energy transfer (LET) 放射線に対する小型Si線量計のLET特性の評価を実施した。方法及び結果の概要は以下の通り。 【方法】イオン種はマルチイオン治療に利用を検討している炭素イオン、酸素イオン及びネオンイオンを用いた。イオン線に対する線量計応答のLET依存性を評価するために、炭素イオン線は10.40 keV/um-41.00 keV/umに、酸素イオン線は19.98 keV/um-74.05 keV/umに、ネオンイオン線は30.01 keV/um-101.45 keV/um に変調した。それぞれのイオン種及び粒子エネルギーにおいて1Gyを照射するように調整した。ビームの安定性を担保するためにビームの入り口領域を利用し測定を実施した。線量計の特性から遮光が必要であり、遮光の容易さから空気中測定を実施した。測定システムは小型球形シリコン半導体線量計と電位系の組合せで構成した。当該システムを用いた場合の測定量は電荷量である。したがって校正によって電荷量から吸収線量への変換係数[Gy/nC]を得て、測定で得られた電荷量に校正係数を乗じて吸収線量を算出した。評価する照射と同じLETのイオン線で校正した測定線量と、最も低いLETのイオン線で校正した測定線量を取得した。 【結果】評価ビームと同じLETで校正した場合の相対誤差は最大2%程度であった。測定値の標準偏差は、照射ビームのLET値が大きいほど大きくLET値が20 keV/umの場合0,1%程度、60 keV/umの場合0.6%程度、100 keV/umの場合0.1%程度であった。 また、最も小さいLET値で校正した場合、測定値はLETが高くなるほど、照射イオンの原子番号が大きくなる程測定値は高くなる傾向が見られた、これによりLETのみの依存性だけでなく粒子種に対する依存性も確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度計画として小型球形Si半導体線量計のLET特性の評価を予定していた。研究実績の概要で示した結果を現在まとめており論文を作成しているところであり順調に進展している。 さらに、2022年度に実施を予定している小型球形Si半導体線量計のLET特性を基にした、LET依存性を考慮した放射線評価法の開発についても、既に得られた結果から着手しており順調に進展している。 他方で、LET特性の実験的評価により明らかとなった、線量計の粒子種依存性についても正しく評価する必要が生じたため評価項目が増えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、実施を予定している項目は、研究計画書に沿って以下の通り。①小型Si線量計の損傷特性の評価 ②高LET放射線に対する線量評価法の開発。また、2021年度に実施したLET特性の実験的評価により明らかとなった、線量計の粒子種依存性についても正しく評価する 具体的には、①については、LET特性評価と同様の条件で1-100Gy程度まで照射し、測定器の損傷特性を評価し、当該線量の測定可能線量の上限値を評価する。②については、小型Si線量計のLET特性と粒子種特性の評価の結果を踏まえて、線量算出式を検討する。炭素、酸素、ネオンの各イオン種毎に、LETによる感度変位の補正係数をLET値の関数で取得し、幅広いLET値に適応できる線量算出式を立案する。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、発表を検討していた国内外の学会に参加をすることが出来ず、旅費の利用がなかったため。 【使用計画】2022年度分助成金との合算で、測定に必要な線量計、リファレンス線量計、及び電位計の購入を検討している。これらを揃えることで実験時の物品利用の可否に制限されず実験を実施することができ、スムーズな研究の実施に寄与する。
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