2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of In vivo dosimetry technique for radiotherapy in consideration of liner energy transfer
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21K15796
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松本 真之介 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (10742744)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 重粒子線治療 / 放射線計測 / インビボ測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究計画中に記載のある、①高LET放射線に対する小型Si線量計の特性評価について、” 小型Si線量計の損傷特性の評価”を実施した。方法及び結果の概要は以下の通り。 【方法】重粒子線のイオン種は、量子科学技術研究開発機構においてマルチイオン治療に利用を検討している、炭素イオン、酸素イオン及びネオンイオンを用いた。それぞれのイオン線に対する線量計の損傷のLET依存性を評価するために、炭素イオン線、酸素イオン線、及びネオンイオン線を用いて照射した。それぞれのイオン種及び粒子エネルギーにおいて、平行平板型線量計を用いて1Gyを照射するようにモニタユニットを調整した。損傷特性の評価のために1Gy×100照射で合計100Gyの照射を実施した。線量計の特性から遮光が必要であり、遮光の容易さから空気中測定を実施した。測定システムは小型球形シリコン半導体線量計と電位系の組合せで構成した。当該線量測定システムを用いた場合の測定量は電荷量である。したがって、事前の校正によって電荷量から吸収線量への変換係数[Gy/nC]を得て、測定で得られた電荷量に校正係数を乗じて吸収線量を算出した。評価する照射と同じLETのイオン線で校正した測定線量と、最も低いLETのイオン線で校正した測定線量をそれぞれ取得した。 【結果】重要な結果として次の3点が明らかとなった。①電離量の絶対値が大きければ大きい程、損傷の度合いが大きいこと。②LET値が大きければ大きい程、損傷の度合いが大きいこと。③損傷度合いの粒子依存性は見られるものの、その特性を特徴付ける物理量が不明であること。このことから、放射線種毎であれば、線量計の損傷度合いは電離量の絶対値でグルーピングが可能である可能性が示唆された。これにより、当該線量測定システムのGy読出しの実行可能性が高まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度計画として小型球形Si半導体線量計のLET特性の評価を予定していた。研究実績の概要で示した結果を現在まとめており論文を作成しているところであり順調に進展している。 さらに、2022年度に実施したLET依存性を考慮した放射線評価法の開発については、得られた結果を元にGy読出しの実行可能性が見られた。最終年度にデータを解析しGy読出しシステムの構築とその誤差解析を実施することで当該線量測定システムの開発を終える。
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Strategy for Future Research Activity |
実施を予定している項目は、研究計画書に沿って以下の通り。①小型Si線量計の損傷特性の評価 ②高LET放射線に対する線量評価法の開発。 具体的には、①については、損傷特性のデータは得られたため、得られた結果から電離量の絶対値と構成曲線の対応関係を関数化し、Gy読出しのための線量測定システムを構築する。②については、小型Si線量計のLET特性と粒子種特性の評価の結果を踏まえて、線量算出式を検討する。炭素、酸素、ネオンの各イオン種毎に、LETによる感度変位の補正係数をLET値の関数で取得し、幅広いLET値に適応できる線量算出式を立案する。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、発表を検討していた国内外の学会に参加をすることが出来ず、旅費の利用がなかったため。 【使用計画】2023年度分助成金との合算で、測定に必要な線量計の購入を検討している。これらを揃えることで実験時の物品利用の可否に制限されず実験を実施することができ、スムーズな研究の実施に寄与する。また、研究成果を広く周知するために論文投稿費及び学会発表費への利用を検討している。
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