2022 Fiscal Year Research-status Report
PNPLA4機能不全がもたらすミトコンドリア異常症及び乳児突然死の発症機序解明
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21K15860
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
入月 浩美 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80793926)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PNPLA4 / ミトコンドリア異常症 / 乳児突然死 / ゼブラフィッシュ / 脂質代謝異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、PNPLA4の分子生物学的機能を明らかとし、小児希少難病であるミトコンドリア呼吸鎖異常症の病態を解明することである。PNPLA4は申請者らがミトコンドリア呼吸鎖異常症の新規原因遺伝子として同定した遺伝子であり、本研究でその機能を解明する意義は大きい。PNPLA4の生体内での役割を解明するためにはモデル生物を用いた研究が必要不可欠だが、本遺伝子はマウスでは発現していない。そのため、申請者らはモデル生物としてpnpla4ノックアウトゼブラフィッシュを世界に先駆けて作製し、既に機能解析を進めている。ゼブラフィッシュは世代時間が短く、遺伝学やイメージング解析で非常に優れている。全ゲノム配列はヒトと高い相同性を有し、遺伝子数や主要臓器・組織の発生および構造もヒトとの類似性が高い。本研究を通してPNPLA4の詳細な分子生物学的機能が明らかとなれば、ミトコンドリア呼吸鎖異常症の新たな治療戦略の創出ならびに乳児突然死の発症予防に大きく寄与する可能性がある。本研究では既に、ホールマウントのin situハイブリダイゼーション法の結果から、ゼブラフィッシュ脳及び筋組織においてpnpla4 mRNAの発現が高いことを発見した。また、pnpla4ノックアウトゼブラフィッシュ脳を用いた網羅的脂質解析を実施し、トリアシルグリセロールの代謝異常を示唆する結果を得ている。現在、ゼブラフィッシュの筋組織、及び、PNPLA4ノックダウン細胞を試料とした網羅的脂質解析を実施し、既存の実験結果と照合してPNPLA4標的脂質の絞り込みを行っているところである。さらに、pnpla4ノックアウトゼブラフィッシュ脳を用いたミトコンドリア機能解析、及び、病理組織学的解析を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
pnpla4ノックアウトゼブラフィッシュを用いたミトコンドリア呼吸鎖異常症の病態解析として実施を予定している行動解析は、現在最適なプロトコールを検討している段階である。病理組織学的解析は現在遂行中であり、十分なデータを得るためにはさらに解析を重ねる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在遂行中のPNPLA4標的脂質の絞り込み後、ヒト培養細胞を用いた検証実験を行い、PNPLA4の標的基質を同定する予定である。また、pnpla4ノックアウトゼブラフィッシュを用いた行動解析を実行するとともに、病理組織学的解析も継続していく。
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Causes of Carryover |
研究の進捗にやや遅れが生じたため、当該年度の支出額が当初の予定を下回ったが、差額分を次年度に繰り越し、網羅的脂質解析や病理組織学的解析、行動解析等に充当する予定である。
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