2021 Fiscal Year Research-status Report
稀少疾患である十二指腸癌の網羅的遺伝子解析を含めた病態解明
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21K15934
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中山 敦史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10748635)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 十二指腸癌 / 十二指腸腺腫 / 内視鏡診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
稀少疾患である十二指腸癌(DC)の研究を行うにあたり、十二指腸上皮性腫瘍(DET)について当部門でDETが疑われ前向きにエントリーされた症例を解析した。今回、500例というこれまでに無い多数のDET症例をエントリーできた。これらのうち内視鏡治療を行いDETと病理診断された401例、401病変を解析対象とした。対象症例の内視鏡所見について病変の部位、大きさ、肉眼型、色調、拡大内視鏡所見を病理診断(DCまたは腺腫)毎に比較し、ロジスティック回帰モデルによる多変量解析を行った。その結果、DCは腺腫と比較して有意に十二指腸口側に多く(62.9% vs 46.5%, p<0.05)、病変径が大きく(32 mm vs 16.7 mm, p<0.05)、隆起型(34.3% vs 17.5%, p<0.05)および発赤調(51.4% vs 33.2%, p<0.05)を呈していた。拡大内視鏡所見ではclosedの表面構造(58.6% vs 31.4%、p<0.05)、white opaque substance(WOS)陰性(27.1% vs 13%、p<0.05)、irregular microsurface patternあり(14.3% vs 6.7%、p<0.05)およびirregular microvessel patternあり(25.7% vs 10.6%、p<0.05)がDCで有意に多かった。また、DCと腺腫ではそれぞれの患者背景(年齢、性別、身長、体重、BMI、既往歴、内服薬)に差は認められなかった。多変量解析では、病変径(オッズ比1.9, 95%信頼区間 1.5-2.3)およびWOS陰性(オッズ比 2.8, 95%信頼区間 1.4-5.5)がDCであることと有意に関連していた。DETはDCと腺腫で内視鏡所見が異なり、特に病変径とWOSの有無がDCの診断に重要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書で提示した通りに十二指腸腫瘍に対する内視鏡診断とその患者背景について解析することができた。現在、対象症例に対する免疫染色と遺伝子解析についてデータ採取を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
対象症例に対する免疫染色と遺伝子解析を継続する。症例数が401例と多いため、滋賀医科大学附属病院臨床検査医学講座および本学ゲノム医療ユニットと密に連携を取りながら、定期的にデータ採取、解析を行うことで当初の予定から遅れないように細心の注意を払う必要があると考えている。
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