2023 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞を用いた胃粘膜発癌メカニズムと遺伝子変異・ピロリ菌感染相互作用の解明
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21K15972
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 康英 京都大学, 医学研究科, 助教 (80646373)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胃粘膜発癌 / 分子腫瘍学 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃粘膜が癌化する過程の詳細を明らかにするため、本研究では事前検討において統計学的な手法をもちいて検出した胃癌ドライバー遺伝子変異の候補が、実際の非腫瘍部胃粘膜上皮細胞においてどの様な分子生物学的変化をもたらすのか、その詳細を解明することと目的としていた。2023年度までに約 60 個の新規胃粘膜組織片を収集できた。現在それらに対して培養実験を実施中である。また並行して、既収集サンプルのデータを再解析し、胃癌ドライバー遺伝子変異の候補の統計学的な有意性の検証と、組織学的評価の相関について検討した。非癌部由来ヒト胃粘膜上皮集塊と、それらから単離した胃腺窩に対して網羅的遺伝子変異解析を行い、ドライバー遺伝子変異の検索と、胃粘膜における遺伝子変異蓄積・クローン拡大の詳細、組織学的な腸上皮化生の占める面積の相関を検討した。上皮集塊の検討結果からは既知の胃癌ドライバー遺伝子変異が有意なものとして検出され、さらに胃癌ドライバー遺伝子として知られている一部の遺伝子は癌部と比較して非癌部で有意に高い頻度で検出された。非癌部におけるクローン拡大は、癌部におけるクローン拡大とは異なった分子生物学的機序でもたらされている可能性が確認された。胃腺窩の検討では非腸上皮化生領域の胃粘膜で年間約0.5個/エクソーム、腸上皮化生領域の胃粘膜で約1.1個/エクソームの遺伝子変異蓄積が確認された。一方、上皮集塊におけるクローン拡大と、組織学的に腸上皮化生の占める割合には有意な相関はみられなかった。理論的には腸上皮化生とクローン拡大には相関が予想されるため、遺伝子用サンプルと組織評価用サンプルが完全には一致していないことに起因する可能性が推定された。これに関してはレーザーマイクロダイセクションなどを併用している。
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Research Products
(3 results)