2023 Fiscal Year Research-status Report
オミックス解析に基づく頻脈誘発性心筋症と拡張型心筋症の鑑別バイオマーカーの探索
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21K16014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷部 雄飛 東北大学, 大学病院, 助教 (50779775)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 頻脈誘発性心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動などの頻脈性不整脈を有する患者は、左室収縮力低下を合併することが少なくない。頻脈の治療後に左室収縮能の改善を認める場合は、頻脈誘発性心筋症と診断されるが、治療前は拡張型心筋症との鑑別が困難なことが多い。そのため、頻脈誘発性心筋症の最善の治療は頻拍の根治であるが、より重症な状態であるほどリスクを鑑み、カテーテルアブレーションを第一選択とすべきかどうか、治療方針の判断に苦慮することが多い。 本研究の目的は、オミックス解析を基に、頻脈誘発性心筋症と拡張型心筋症との鑑別診断に有用なバイオマーカーを探索し、治療法の判断に際して有用な情報を提供することである。 本研究では、頻脈性不整脈を合併した低左心機能症例において、心エコー、MRI等により詳細な心機能の評価、二次性心筋症の否定を行う。カテーテルアブレーション施行時にオミックス解析用の採血検体を採取する。その後の経過を3、6、12ヶ月とフォローアップし、心機能改善の有無により頻脈誘発性心筋症かどうかの診断を行う。アブレーション時点での検体のオミックス解析を行うことで、事前診断可能な頻脈誘発性心筋症における特異的な血清 マーカーが存在するかを検討する。 2021年12月以降、症例登録を開始し、2023年12月までに16例の症例登録、カテーテルアブレーションを施行した。10例が頻脈誘発性心筋症、6例が拡張型心筋症と診断が確定し、オミックス解析を施行し結果を確認中で、候補タンパクが数種類あがっている。引き続き、症例登録を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、COVID-19蔓延下でカテーテルアブレーションを制限したため、症例登録3例のみと遅れがでたが、2022年秋以降は、月平均1-2例での症例登録を行えるようになった。全体としてはやや遅れているが、頻脈誘発性心筋症に関しては10例の登録が進んだ。バイアスの低い解析には、拡張型心筋症の特に女性例の登録が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、頻脈性不整脈を合併した低左心機能症例に対する治療に際して、カテーテルアブレーションの適応がある症例の登録を進めていく。16例のオミックス解析結果時点での候補となりうる蛋白の他に候補が上がってくるか、さらに症例を加えて、まとめて報告する。
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Causes of Carryover |
20例程度をまとめてオミックス解析を行う予定であったが、16例の登録にとどまった。さらに5例程度追加して解析を行いたい。
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