2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K16045
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高木 大地 秋田大学, 医学部附属病院, 講師 (70723394)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺静脈心筋 / 心房細動 / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ヒト肺静脈心筋を用いて、心房細動の発生源における、過分極活性化電流や内向整流性カリウムチャネルの生理機能を解明し、これらの電流がどのように心房細動の発生に関わっているのかを明らかにすることである。これまで、15症例より肺静脈心筋を採取し、3例でパッチクランプ法により電気生理学的評価を行うことができた。また、想定していた通り、過分極活性化電流をヒト肺静脈心筋においても認めることができた。心房細動症例と非心房細動症例の電気生理学的特徴の差を引き続きデータの集積を行い明らかにしていく必要がある。 また、採取した検体の一部を用いて、RNA-seqにより6つの心臓領域におけるタンパク質コードRNAとロングノンコードRNA(lncRNA)の発現量を解析した。心房細動の有無で最も変化する部位は、心房ではなく心筋部位のうち肺静脈であることがわかった。統計学的に有意である遺伝子を解析したところ、イオンチャネル関連遺伝子セットが有意に心房細動患者の肺静脈心筋に濃縮されていた。また、がん関連lncRNAは、心房細動のあるPVで発現が増加した。共発現ネットワーク解析により、タンパク質コード遺伝子とlncRNAが機能的に結合している機能クラスターを検出することができた。本研究は、(1)RNAの変化がPVで最も大きく、(2)FOXCUT-FOXC1軸のような後天的な遺伝子制御が、心房細動の進行に寄与する可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肺静脈心筋を採取し、パッチクランプ法により、活動電位、内向き整流性 K 電流、過分極活性化電流などを測定している。パッチクランプの特性上、検体あたりの成功率が20-30%程度と低く、また臨床検体を用いていることから十分な検体数を確保できていないため、十分なデータが得られていない。手術の安全性を確保するために、これ以上の適応患者を広げることが難しく、また、研究の性質上、他施設での検体採取は困難なため、引き続き時間をかけてデータを集積する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究方法は確立したため、適応となる患者さんを抽出して、検体数を増やし、データを集積する。手術の安全性を確保するために、これ以上の適応患者を広げることが難しく、また、研究の性質上、他施設での検体採取は困難なため、引き続き時間をかけてデータを集積する必要があると考えている。 一方で、採取した組織の一部を用いて、マイクロアレイを用いた、心房細動研究を同時に行なっている。肺静脈心筋細胞に特異的に発言しているイオンチャネルなどの膜タンパクを探索する.右心耳,肺静脈心筋よりRNAを抽出し,マイクロアレイを行う.心房細動のトリガーとなりうる肺静脈固有の遺伝子を同定する.
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Causes of Carryover |
コロナにより、学会参加などのための渡航費用などの未使用により次年度使用額が生じた。 肺静脈心筋の採取するための器材の購入、パッチクランプ用器材の購入および修理、学会発表や論文投稿のための費用及び国際学会の参加費用などに使用する。
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