2023 Fiscal Year Annual Research Report
ポドサイト障害抑制因子の探索と慢性腎臓病治療薬開発の試み
Project/Area Number |
21K16158
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
辰元 為仁 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (30444813)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / ポドサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
ポドサイトにおけるNotch2活性化シグナルの下流因子としてSub-Xを特定した。ヒトの腎生検組織において、ポドサイト障害をきたす巣状糸球体硬化症でポドサイトのSub-X発現が亢進していること、マウスのポドサイト障害腎症モデルであるアドリアマイシン(ADR)モデルにてポドサイトのSub-X発現が亢進していることを確認した。培養ポドサイトでは、ADRにてSub-Xの発現、分泌が亢進し、αNotch2にて増強された。 Sub-X投与、Sub-X過剰発現により培養ポドサイトのADRによるアポトーシスが抑制され、Sub-Xノックアウト(KO)ポドサイトでは細胞死が促進された。Sub-X KOマウスでは、予想に反してADRによる腎障害が軽減した。Sub-X KOの骨髄を移植した野生型、Sub-X KOマウスで腎障害が抑制され、骨髄細胞のSub-Xの欠損が腎保護に関与していた。Sub-X KOのADR腎症マウスでは、糸球体内のM2マクロファージが増加し、骨髄移植モデルでもSub-X KOの骨髄移植群では野生型、Sub-X KOマウス両群で糸球体内のM2マクロファージが増加した。Sub-X KOマウスのADR腎症モデルに野生型マウスのM2マクロファージを投与すると腎障害が増悪した。マウスの骨髄由来マクロファージをM1、M2に分化誘導したところ、Sub-X KOマウス由来のマクロファージではM1への分化抑制、M2への分化促進がみられた。これらより、Sub-XはマクロファージにおいてM1からM2への分化を誘導することにより腎障害を軽減している可能性が示された。 以上より、Sub-X KOによるマクロファージのM2誘導、炎症抑制効果が、ポドサイトのアポトーシスを凌駕するため、Sub-X KOマウスで腎障害が軽減されていたと想定された。
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