2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K16204
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
飯田 忠恒 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80844381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発汗 / マスト細胞 / 自律神経 / 神経免疫 / 蕁麻疹 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚のマスト細胞の活性化は蕁麻疹を引き起こすが、その病型の一つに発汗刺激により症状が誘発されるコリン性蕁麻疹がある。コリン性蕁麻疹は一般的な蕁麻疹治療が無効な例が多く、発汗障害を合併する場合もある。汗抗原へのアレルギーを示す症例が報告されている一方で、アレルギーのない症例ではIgE非依存的にマスト細胞が活性化している可能性も考えられる。本研究はマスト細胞のIgE非依存的な活性化に着目し、難治性のコリン性蕁麻疹に対する新たな治療ターゲットを見つけ出すことを目的とする研究である。 本年度は、イメージングやRNA-seqによるマスト細胞の評価系を確立することを目標に研究を進め、おおむね予定通りの成果が得られている。イメージングによる評価については、マスト細胞をアビジンで染色することで3次元イメージングを行う手法を、ヒトおよびマウスの汗腺で確立した。神経との同時染色では、神経に近接するマスト細胞が認められた。抗c-kit抗体を用いたフローサイトメトリーによるマスト細胞の単離は、陽性細胞がごく少数しか認められず採集が困難であったため中止したが、マウス汗腺のシングルセルRNA-seqに成功し、マスト細胞集団を分離して網羅的な遺伝子発現量評価が可能なことを確認した。 さらに、マスト細胞の活性化および欠損による発汗への影響を評価した。マスト細胞をIgE非依存的に活性化したマウスでは明らかな発汗への影響は見られなかったが、マクロファージを活性化させると発汗が低下し、マスト細胞にも遺伝子発現量に変化が生じることがわかった。また、マスト細胞欠損マウスでも発汗には明らかな影響は見られず、マクロファージの活性化による発汗低下も認められたことから、発汗への影響はマスト細胞よりもマクロファージの活性化の影響が大きい可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、3次元イメージングとRNA-seqによるマスト細胞の状態評価方法を確立できており、マスト細胞の活性化や欠損による発汗への影響の解析も進んでおり、進捗状況は予定通りであると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究成果から、発汗への直接の影響は、マスト細胞よりもマクロファージの方が大きい可能性が示唆されたことから、マスト細胞とマクロファージ間の相互作用、特にマクロファージの活性化がマスト細胞の活性に及ぼす影響についても検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたサーマルサイクラー(45万円)について、他の研究室より無償で譲り受けることができたため、次年度使用額が生じた。2021年度の研究成果より、マスト細胞とマクロファージの相互作用が新たに重要な検討事項となることが判明したため、次年度以降、RNA-seq等による評価をマスト細胞と同時にマクロファージでも進めるために使用する。
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Research Products
(3 results)