2021 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of suprabasin in the pathogenesis of metal allergy
Project/Area Number |
21K16207
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中澤 慎介 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (10883176)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金属アレルギー / スプラバシン / ニッケル |
Outline of Annual Research Achievements |
金属アレルギーは接触皮膚炎以外にも、扁平苔癬、掌蹠膿疱症、手湿疹、痒疹、アトピー性皮膚炎等、多くの皮膚アレルギー疾患に関与すると推測されている。したがって、その発症機序の解明は、多くの皮膚疾患の病態解明につながる可能性がある。 我々は、金属アレルギー病態解明の切り口として、スプラバシンに着目した。スブラバシンは、扁平上皮組織の基底層より表層に発現する分泌タンパクである。スプラバシンは表皮細胞の分化において重要な役割を果たしていると考えられる。我々はこれまでに、スプラバシンの発現がアトピー性皮膚炎で低下していること、その中でも、金属アレルギーを合併しやすいことが知られている内因性アトピー性皮膚炎で有意に減少することを見出した。また、スプラバシンの欠損マウスはニッケルを飲水付加すると血中ニッケル濃度が高く、ニッケルアレルギー反応が亢進していた。これらの事実から、我々はスプラバシンの低下が金属アレルギー発症に関連している可能性を考えた。 そこで我々は、金属アレルギーの有無により、血中のスプラバシン量が変化しているのかについて、検討をおこなった。金属パッチテストを実施した患者から血清を取得し、血清スプラバシン濃度をELISAで測定を行った。この際、内因性アトピー性皮膚炎患者検体は除外した。金属のパッチテスト陽性であった群(n=10)と陰性だった群(n=17)で血清スプラバシン濃度をMann-Whitney U検定した。その結果、金属パッチテスト陽性群で有意に血清スプラバシン濃度が低下していた。この事実は、内因性アトピー性皮膚炎と独立して、スプラバシンの減少が金属アレルギー発症の一因であることを示唆する。 今後角層のスプラバシン濃度や血清ニッケル濃度、上部消化管粘膜におけるスプラバシン発現に関しても同様に検討できれば、より一層スプラバシンと金属アレルギーの関係性を明らかにできると考える。
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