2022 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成環境による多発性骨髄腫の腫瘍進展の抑制:腫瘍抑制性ニッチの分子病態の解明
Project/Area Number |
21K16244
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
藤井 志朗 徳島大学, 病院, 講師 (00618473)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / 微小環境 / 細胞外小胞 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫は、骨に親和性を持ち、骨破壊病変を形成しつつ進展する難治造血器悪性腫瘍である。骨病変部では骨形成が抑制されているが、プロテアソーム阻害薬などの新規薬での治療奏効例で腫瘍抑制効果と骨形成誘導の逆相関が示唆されている。本研究では、骨髄腫骨病変微小環境の重要な骨髄腫支持細胞である骨髄間質細胞とその骨髄間質細胞から分化誘導された成熟骨芽細胞が骨髄腫細胞の生存・増殖に及ぼす影響とその分子機序を明らかにするため以下の検討を行った。骨髄間質細胞と骨髄腫細胞株を共存培養すると、骨髄腫細胞のIRF4-PIM2-cMyc経路が活性化され、骨髄腫細胞の生存・増殖が促進した。マウス前骨芽細胞株MC3T3-E1細胞に加えマウス骨髄由来骨髄間質細胞、ヒト前骨芽細胞株にBMP-2を添加し石灰化結節を形成するまで骨芽細胞分化を誘導させ骨髄腫細胞株を共存培養すると、これらの細胞は逆に骨髄腫細胞のIRF4-PIM2-cMyc経路を抑制しカスパーゼ3が活性化されアポトーシスを誘導した。成熟骨芽細胞では骨髄腫細胞のIRF4発現を抑制すると報告されているmiR-125b発現が誘導されていた。また、成熟骨芽細胞との共培養は、2日後より骨髄腫細胞にAMPKのリン酸化を誘導したが、AMPK阻害薬dorsomorphinの添加で成熟OB による骨髄腫細胞死の誘導活性が部分的に抑制された。一方、AMPK 活性化薬AICARを添加すると骨髄腫細胞に細胞死が誘導された。石灰化を呈する成熟活性化骨芽細胞は複数の機序により骨髄腫細胞に細胞死を惹起すると考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] The importance of retaining physical functions to prevent skeletal-related events in multiple myeloma patients with bone disease.2022
Author(s)
Miki H, Nakamura S, Oura M, Nakamura M, Sumitani R, Sogabe K, Takahashi M, Maruhashi T, Harada T, Fujii S, Hamano H, Kondo M, Okada N, Endo I, Abe M.
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Journal Title
eJHaem
Volume: 3
Pages: 480~483
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Local hyperthermia against extramedullary plasmacytomas: cooperation with proteasome inhibitors.2022
Author(s)
Tomoko Maruhashi, Hirokazu Miki, Kimiko Sogabe, Asuka Oda, Masafumi Nakamura, Ryohei Sumitani, Masahiro Oura, Mamiko Takahashi, Takeshi Harada, Shiro Fujii, Shingen Nakamura, Masahiro Abe
Organizer
The 84th Annual Meeting of the Japanese Society of Hematology.
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[Presentation] 肝臓アミロイドーシスに対する超音波エラストグラフィを用いた非侵襲的診断法の有用性.2022
Author(s)
三木浩和, 中村信元, 中村昌史, 住谷龍平, 大浦雅博, 曽我部公子, 髙橋 真美子, 丸橋朋子, 原田武志, 藤井志朗, 西尾進, 友成哲, 安倍正博
Organizer
第47回日本骨髄腫学会学術集会
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[Presentation] 形質細胞疾患における新型コロナワクチンの有効性2022
Author(s)
中村信元, 堀太貴, 中村昌史, 住谷龍平, 大浦雅博, 曽我部公子, 丸橋朋子, 髙橋真美子, 藤井志朗, 三木浩和, 原田武志, 安倍正博
Organizer
第47回日本骨髄腫学会学術集会
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[Presentation] RNA編集酵素ADAR1を標的にする1q増幅骨髄腫細胞に対する治療法の開発2022
Author(s)
原田武志, 住谷龍平, 小田明日香, 井上雄介, 大浦雅博, 曽我部公子, 丸橋朋子, 高橋真美子, 藤井志朗, 中村信元, 三木浩和, 天眞寛文, 日浅雅博, 寺町順平, 安倍正博
Organizer
第47回日本骨髄腫学会学術集会
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[Presentation] 骨髄腫細胞のプロテアソーム阻害薬への抵抗性の機序と温熱療法によるその克服の可能性2022
Author(s)
丸橋 朋子, 三木 浩和, 曽我部 公子, 原田 武志, 小田 明日香, 中村 信元, 中村 昌史,住谷 龍平, 大浦 雅博, 高橋 真美子, 藤井志朗, 安倍 正博
Organizer
第47回日本骨髄腫学会学術集会
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[Presentation] 骨髄腫に対する抗体免疫療法へのTh1様γδT細胞の応用2022
Author(s)
井上雄介, 原田武志, 天眞寛文, 小田明日香, 住谷龍平, 大浦雅博, 曽我部公子, 丸橋朋子, 高橋真美子, 藤井志朗, 中村信元, 三木浩和, 日浅雅博, 寺町順平, 安倍正博
Organizer
第47回日本骨髄腫学会学術集会
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[Presentation] TAK1 阻害は骨髄腫の細胞間相互作用による骨破壊と薬剤耐性を改善する2022
Author(s)
寺町順平, 天真寛文, 日浅雅博, 小田明日香, 清水宗, 住谷龍平, 大浦雅博, 曽我部公子, 丸橋朋子, 藤井志朗, 中村信元, 三木浩和, 遠藤逸朗, 原田 武志, 安倍正博
Organizer
第47回日本骨髄腫学会学術集会