2021 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞の分化異常が引き起こす造血不全の病態解析
Project/Area Number |
21K16258
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe |
Principal Investigator |
林 康貴 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員 (10854664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群(MDS)などの造血器腫瘍において、骨髄微小環境(造血幹細胞ニッチ)の変化は腫瘍特有の病態の維持に重要な役割を果たしている。この微小環境の変化は造血幹細胞の機能を制御しており、微小環境の改善は正常造血能の回復、輸血依存からの脱却、移植細胞の生着率の向上などに大きく貢献できると期待される。申請者らはモデルマウスを用いた解析により、MDS細胞が代表的なニッチ細胞である間葉系幹細胞(MSC)の分化障害を介して正常造血を抑制することを明らかにした。しかしMSCの分化異常が造血不全を引き起こすメカニズムは不明のままである。そこで本研究では、MDSモデルマウスのMSCを単一細胞レベル解析し、MDSにおける造血不全の鍵となる細胞集団の同定を目指す。さらにMSCの分化異常が造血支持低下に果たす役割を解明し、MDSにおける造血能回復を目標とした新たな治療戦略の礎を築くことを目的としている。 本年度は骨髄低形成を示すAbcg2過剰発現系(Kawabata et al. Leukemia 2018)と骨髄過形成を示すNup98-HoxD13(Weidner et al. Leukemia 2017, Lin et al. Blood 2005)の2つのMDSモデルマウスを用いた単一細胞RNAシークエンス解析を行った。その結果2つの異なるモデルに共通して骨芽細胞系列の減少を認めたほか、LepRで特徴づけられる集団に顕著な差異を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2つの異なるMDSモデルにおいて共通するMSC亜集団構成の変化を見出し、LepRで特徴づけられる細胞集団に顕著な変化が起こることを明らかにした。また、これらのMSCによる影響を受ける造血幹前駆細胞において、遺伝子発現等の変化の検討を行った。これらの解析結果を用いてニッチ因子の変化の検討を進めており、概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
MDSモデルマウスにおいて顕著な変化を認めたMSC亜集団を中心に特性解析を引き続き進める。また、これらのMSCによる影響を受けた造血幹前駆細胞を用いた遺伝子発現等の解析結果を用いて、種々のサイトカイン・ケモカインや細胞表面の接着因子等の主要なニッチ因子について解析を行う。それらの結果から、ELISAやフローサイトメトリー解析、メタボローム解析、免疫細胞染色等を用いて、MDSにおけるニッチ機能低下において主要な役割を果たす機能的分子の探索を進める。
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Research Products
(2 results)