2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K16340
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 士郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00896467)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | T-カドヘリン / アディポネクチン / エクソソーム / 血中可溶性T-カドヘリン / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、脂肪細胞特異的分泌因子アディポネクチンと特異的に結合する膜タンパク質であるT-カドヘリン(T-cad)について、その可溶型フォーム(可溶型T-cad) の血中濃度制御・動態ならびに生理的・病態的意義について研究している。今年度は以下の検討を行った。 ・可溶型T-cadの生成・動態: 膜型のT-cadを発現している初代ヒト血管内皮細胞を培養し、様々な添加物を処理しその培地上清をT-cad ELISAで解析した。前年度はケトン体の関与が示唆されたが、精査の結果ケトン体自身による培地のpHへの影響であることが判明した。 一方、インスリンを添加すると培地上清に分泌される可溶型T-cadの量は有意に減少し、その下流シグナルであるAkt阻害薬により可溶型T-cad分泌量の減少はキャンセルされたが、もう一つの下流シグナルであるErk阻害薬ではキャンセルされなかった。インスリンレセプター阻害剤を野生型マウスに投与したところ、血中可溶型T-cad濃度は上昇した。さらに、ケトアシドーシスを発症したインスリン依存型糖尿病患者では、インスリン治療により血中可溶型T-cad濃度は著明に減少した。逆に、再発卵巣癌に対する抗癌剤として開発中のPI3Kα阻害薬(PI3KαはAktの上流因子)を投与された患者は、投与前と比べて血中可溶型T-cad濃度が上昇した。従って、可溶型T-cadはインスリン/PI3Kα/Akt経路を介した分泌制御を受けると考えられる(論文投稿中)。 ・ヒト血中T-cad濃度の検討:血中可溶型T-cad濃度がバイオマーカーとして有用かどうか検討するため、人間ドック施設を有する学外病院と協力し、人間ドック受診者が採血検査を受けた際の残余血清を回収し、その血中T-cad濃度を測定し、各種臨床パラメータとの相関を解析予定である。こちらも現在準備をすすめている。
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Research Products
(4 results)