2021 Fiscal Year Research-status Report
脱ユビキチン化の阻害によるフェロトーシス誘導効果の解析
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21K16405
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大槻 雄士 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (10875412)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユビキチン化 / 酸化ストレス / フェロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らが独自に開発しているフェロトーシス誘導療法の治療効果をさらに高めるために、脱ユビキチン化酵素(DUB)関連遺伝子の発現が上昇する詳細な分子機構の解明を通じ、その意義を明らかにし、がん治療応用への基盤を固めることを目的とする。具体的には、新規治療の開発と本治療に対するバイオマーカーの特定を目指しており、多くの治療抵抗性腫瘍においてxCTとALDHの発現が認められること、一部のユビキチン選択的プロテアーゼ(USP)は癌の悪性化との関連がよく知られていることから、本研究の成果は様々な癌種に普遍的に応用できる可能性が高く、研究意義は非常に高いと考えられる。 また、興味深いことに、DUB阻害剤やDUB関連蛋白のユビキチン選択的プロテアーゼ(USP)の抑制によりALDHsの活性を抑制することも確認できている。 初年度を終え、現在ALDHとDUBの両方に関連する遺伝子Xの特定に成功している。さらに、この遺伝子Xの発現によるALDH阻害剤の効果のコントロールに成功している。この遺伝子Xはユビキチン化に関しては、既に報告があり、この報告の再現性を確認し、ALDHとの関連性に関しても解明することで、ALDHとユビキチン化の関連性を解明することを今後の研究で目指す。 本研究開発の進展により、ユビキチン化とフェロトーシス誘導療法の関連性を解明し、がんにおけるフェロトーシス誘導療法の確立を促進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん細胞と薬剤感受性の発現をスクリーニングすることで、ユビキチン化の関連遺伝子Xの発現がALDH阻害剤の感受性にも関わることが確認できた。この遺伝子Xはユビキチン化に関しては、既に報告があり、この報告の再現性を現在、確認している。 具体的には、遺伝子Xの高発現細胞株においてノックダウン株を作成すると、ALDH阻害剤の効果に影響が見られた。ALDH阻害剤として、過去のフェロトーシス誘導療法の開発にて用いたオキシフェドリンを用いており、この研究成果は独自開発しているフェロトーシス誘導療法の発展にも貢献することができ、新たながん治療の確立にも寄与するものと考える。 また、DUB阻害剤やDUB関連蛋白のユビキチン選択的プロテアーゼ(USP)の抑制によりALDHsの活性を抑制することにも成功しており、ALDH活性制御、USP抑制の両面から研究を進めることで、遺伝子Xをハブとした関連性の解明を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ALDHとの関連性に関しても解明することで、ALDHとユビキチン化の関連性を解明することを今後の研究で目指す。 また、DUB阻害剤やDUB関連蛋白のユビキチン選択的プロテアーゼ(USP)の抑制によりALDHsの活性を抑制することにも成功しており、ALDH活性制御、USP抑制の両面から研究を進めることで、遺伝子Xをハブとした関連性の解明を進めていく予定である。 また、可能であればSSZ+OXY+DUB阻害剤の3剤併用療法を行い、治療効果に影響を与える、さらなる遺伝子X以外の検索を行う。これにより、治療対象を選択するためのバイオマーカーの特定を行う。 さらに、遺伝子Xを標的とする化合物の検索を行い、遺伝子Xをターゲットとする治療法の開発を目指すための土台となる、化合物スクリーニングなどを検討していく。
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