2023 Fiscal Year Research-status Report
ステントの内皮化を可視化する、特異的ペプチドを用いたイメージング法の開発
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21K16642
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
児玉 智信 日本大学, 医学部, 助教 (70449932)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ステント / イメージング技術 / ペプチド / ファージディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
脳外科領域をはじめとして循環器領域、血管外科領域等に近年、広くカテーテル治療が普及している.いずれの領域もステントやコイルなどの金属製医療器具を用いて治療しており、その症例数は年間500万件にも及ぶ.しかしながら、コイルやステントは金属製であるために血液適合性に乏しく、留置後に血栓形成を引き起こす.そのため、患者は抗血小板薬を服用する必要があり、常に出血性合併症を引き起こす可能性がある.特に2剤以上の抗血小板薬の内服は、2~3%の重篤な出血性合併症を引き起こしている.また、服用中は、他の手術を受けることが難しいことが問題となっている.抗血小板薬の服用期間については、科学的なデータは乏しく、医師の経験に基づいて決定されているのが現状である.留置したステントやコイル表面を血管内皮細胞が十分に被覆していれば、金属部分へ血液が露出されていないために、抗血小板薬の服用を止めることができる.しかしながら、どれだけステントが内皮細胞で被覆されているのかを知る手段はなく、あくまでも経験に基づいた医師の判断でそのタイミングが決められている.本研究では留置したステントやコイルの金属部分を検出する特異的ペプチドを開発した.ステントやコイルは、血管内へ留置後、徐々に血管内皮細胞で被覆されていく.そのためステントやコイルの内皮化度を可視化することができ、科学的根拠に基づいて患者の抗血小板薬の服用期間を決定する事が出来る.令和5年度はラット腹部大動脈に留置したステントサンプルから得られたMRI画像から解析評価を引き続き行った.一部、解析不十分な部分があり、適宜解析手法を変更し内皮化のある部分とない部分の差異を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットを用いたvivo実験において、モデル作製の安定化が遅れた.これに連れて解析が遅れている.また昨年5月に異動したことにより、研究環境の構築に予想以上に時間を要したため当初の研究計画より遅れた.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き開発した短鎖ペプチド・SPIO複合体での動物実験を行う.術前2週間前より抗血小板薬プラビックスを内服させたWistarラット(Male,12w 400~500g)を用いて、前頚部正中切開にて左総頚動脈を露出させる.直視下にマイクロカテーテルを挿入し腹部大動脈にWingspan stent2.5-20mmを留置.4週間飼育後に麻酔下にMRI撮像を行う.その後sacrificeし病理チェックを行う.病理学的に内皮化した部分と撮像したMRI画像を比較検証していたが、ラットサイズが小さいこともあり16w 600~800gに変更する. 得られたMRI画像とその病理画像からより効率的な内皮化測定システム構築を目指す.ヒトの目に頼らない、より正確な内皮化の判定方法としてDeep learningを用いた異常検知を行う.GANを使った手法やAutoEncoder, Variational Autoencoderを使った手法など多くあるが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使って、損失関数を工夫することにより異常検知することとしているが、適宜関数を変更検証していく.
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Causes of Carryover |
動物モデルの安定構築のために若干、体重の重いラットを用いる事とした.またMRIによる検出効率を高めるために金属量および金属種の変更を行う事とした.そのため、これらの実験を繰り越すために未使用金が発生した.
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