2022 Fiscal Year Research-status Report
慢性硬膜下血腫にたいするエビデンスのある薬剤の解明
Project/Area Number |
21K16644
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
青山 正寛 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30634836)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 慢性硬膜下血腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性硬膜下血腫形成においては、様々な炎症性サイトカインの関与が報告されてきています。一昨年には20症例の慢性硬膜下血腫において、炎症性サイトカインならびにケモカインであるinterleukin-8, GRO-alpha, ENA-78, MCP-1, IP-10, tPA, vWF, eotaxin-3の8項目の発現量につき、ELISAキットを用いて測定を完了しています。いずれも患者の血清と比較すると、慢性硬膜下血腫内においては、高濃度発現していることを確認しており、これらが血腫増大への強い影響が示唆され、内服薬との関連性など更なる検討が待たれるところである。 また、様々な作用効果のある細胞外マトリックスであるN-half osteopontinの発現が、血腫内において血清と比較すると有意に高濃度発現していました。一方、慢性硬膜下血腫の被膜においてはintegrin alpha-9 beta-1などのN-half osteopontinのreceptorの発現と、integrinのシグナル伝達系の下流であるFAK, paxillinやvinculinなどの発現もWBで確認することができた。免疫染色の結果では、integrin alpha-9とbeta-1, FAK, Paxillinは被膜の血管内皮において発現されており、被膜における血管新生に深く関与していることが判明した。 それに引き続き、昨年は、osteopontinそのもののreceptorであるCD44や、その下流に位置するankyrin-1, ezrin, radixin, moesinなどの蛋白発現もWBで確認できた。組織染色結果では、被膜の血管内皮において発現しており、こちらも血管新生に深く関与してきていることが判明した。今後これらの蛋白と内服薬との関連性などの更なる検討が待たれるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年には、8項目の炎症性サイトカインならびにケモカインの測定が完了しており、また、細胞外マトリックスであるN-terminal half osteopontinと下流のシグナル伝達系に関して探索できた。更に昨年は細胞外マトリックスであるOsteopontinそのもののシグナル伝達系に関しても検討できた。 よって、慢性硬膜下血腫におけるシグナル伝達系の解明に関しては、概ね順調に進展していると判断しています。これらのデータと患者の薬歴におけるスタチン、エチゾラム、フェキソフェナジンなどとの関連性につき、今後更に検討の予定です。
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Strategy for Future Research Activity |
8項目の炎症性サイトカインならびにケモカインの測定が完了しており、これらのデータと患者の薬歴におけるスタチン、エチゾラム、フェキソフェナジンなどの内服との関連性につき、今後更に検討の予定です。 また、細胞外マトリックスの慢性硬膜下増大への強い関与も示唆され、これらの発現蛋白量と薬歴との関連性について、今後検討予定です。 一方、基礎実験としては、ラット慢性硬膜下血腫モデルを作成して、今までの我々の検討してきたSmad, NF kappa B, MAPK, Autophagyやcaspaseなどのシグナル伝達系の発現につき検討を加え、更に上述の薬剤内服による効果に関して、今後更に検討を加えている予定です。
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Causes of Carryover |
効率よく実験が遂行でき、また、無駄な出費も抑制できた結果と思われます。 今年度も浪費することなく、引き続き有効な支出に心がけて実験に取り組んでいく所存です。
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