2023 Fiscal Year Research-status Report
膝周囲骨切り術の最適化を目指した大規模バイオメカニクスデータベースの構築
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21K16672
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩崎 浩司 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (40771895)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 加速度センサー / 三次元動作解析 / 変形性膝関節症 / 骨切り術 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学病院と関連病院の計4施設で、変形性膝関節症の術前後の歩行動態を加速度計と3次元動作解析(2施設)で解析し、年間約150例の歩行データを蓄積できるシステムを構築した。 膝内外側荷重比の代表的な指標としてKAM(Knee adduction moment)がある。HTO後にKAMが減少することは明らかになっている。しかし、HTO後のKAMと下肢アライメントの相関は高くないことから、KAMを指標とした下肢アライメントの決定は困難であった。KAMを考慮した新しいレントゲン指標Pelvis-knee-ankle angle (PKA)を考案し、解析の結果PKAは従来の下肢アライメントよりもHTO前後のKAMと高い正の相関を示すことが明らかになった。この結果は術後PKAが大きいほどKAMが大きい、つまり内側荷重減少効果が小さいことを意味するため、術後PKA高値が予想されるような症例、つまり骨盤幅が広い症例では矯正角度を通常よりも大きくし、PKA高値を回避すべきと考えられた。また、同時に術後PKAは術後の患者立脚型評価(Knee society score 2011)とも相関することを明らかにした。 外側閉鎖式HTOでは骨密度分布は外側に偏位したが、内側開大式HTOでは内側に偏位した。内反膝では内反型変形性足関節症を呈することが多く、そのような症例に、内側開大式HTOを行うと、足関節内側の応力が増大し、症状が悪化または顕在化する可能性が示唆された。 データベースに蓄積したCTデータから、顆間隆起外側壁の骨密分布を調べたところ、高骨密度領域は、過去の解剖学的ACL付着部に近似した分布をしており、その形態と脛骨後傾に関連があることを報告した。 有限要素解析による膝関節の荷重分布を算出する手法を工学部と共同研究を行い、先行研究に矛盾しない解析結果が得られるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨切り術前後の加速度波形を比較検討する予定であったが、コロナの影響で2021、2022年度の骨切り手術が減少した。しかし研究期間が1年延長となり、予定していた症例数に到達する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
変形性膝関節症と膝周囲骨切り術前後の、三次元動作解析から得られる膝内反モーメント、及び患者立脚型評価と、加速度データの関係について明らかにする予定である。また、患者固有の骨・半月板形態を反映した、有限要素解析による膝関節の荷重分布を算出する手法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
研究期間の前半、コロナの影響で多くの学会がWeb参加であったことから旅費への支出が少なかったため。次年度は、研究成果を国内外の学会で発表するとともに、膝関節荷重分布解明につながる診断機器である超音波診断装置、解析装置・ソフトウェアなどの購入し使用する予定である。
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