2023 Fiscal Year Research-status Report
新規分子標的治療薬による造精障害メカニズムの解明と精巣毒性バイオマーカーの確立
Project/Area Number |
21K16756
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
野崎 哲史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50813432)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 精巣毒性 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内への新規がん治療薬投与による精巣毒性の解析のため、ヒストン脱メチル化酵素Lysine Specific Demethylase 1 (LSD1)阻害剤であるNCL1を用いて、In vivo実験を行った。6週齢雄C57BL/6Jマウスに、精巣毒性を引き起こすBusulfanと、NCL1 1.0mg/kg、3.0 mg/kgを腹腔内投与した。ControlとしてDMSOを投与した(各群N = 15)。5週間後に精巣を摘出した。LSD1活性がどのように制御されているか調べるため、摘出した精巣検体を使用し、RNAシーケンスを行い、Ingenuity Pathway Analysis (IPA) で評価した。その結果、24のターゲット因子を同定し、その中で有意差のあった、Col1a2, Cdh1, Hoxb7, Scd1の4因子を抽出した。さらに、定量PCRでも評価し、NCL1の投与はLSD1の活性を抑制することを確認した。 つづいて、ヒト精巣におけるLSD1の発現を評価した。正常と男性不妊症のヒト精巣検体を用いて、LSD1の発現を免疫組織化学で評価した。正常精巣、不妊症精巣とも、セルトリ細胞と精祖細胞でLSD1の発現が高かった。精細胞では、精子形成に伴ってLSD1の発現は有意に減少した。不妊症精巣の一型であるMaturation arrestの精巣でも、精子形成の過程でLSD1の発現が減少していることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vivo, In vitroの実験の結果、LSD1阻害剤であるNCL1の投与により精巣毒性を引き起こすことを見出したが、その影響が遷延するのか、回復するのかの評価が完了していないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに使用した手法を用い、精巣毒性からの回復実験を遂行する予定である。
|
Causes of Carryover |
これまで、In vivo, In vitroの実験の結果、LSD1阻害剤であるNCL1の投与により精巣毒性を引き起こすことを見出した。しかし、その影響が遷延するのか、回復するのかが不明なため、次年度は精巣毒性からの回復実験を行う。
|
Research Products
(6 results)