2021 Fiscal Year Research-status Report
血友病保因者の心身のケアを目的とした包括的診療を可能とする連携システムの構築
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21K16780
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
松尾 陽子 久留米大学, 医学部, 助教 (90368910)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血友病保因者 / 出血傾向 / 頭蓋内出血 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次調査として日本血栓止血学会の血友病診療連携委員会によって承認されたブロック拠点病院(14施設)と地域中核病院(68施設)の合計82施設にアンケート用紙を送付して、各施設に受診歴のある血友病確定保因者数を調査した。41施設より回答があり、受診歴のある確定保因者数の合計は341名であった。さらに、本調査研究への参加の同意を得られた施設に対し二次調査を開始した。この二次調査は17歳以上の確定保因者を対象とし、ISTH/SSC BATを用いた出血評価、妊娠・分娩歴、分娩状況、出生新生児の状況、血液検査データ(第Ⅷ因子活性値、第Ⅸ因子活性値など)、出血傾向の自覚症状と受診歴、保因者告知前後の心理的変化についてアンケート調査、聞き取り調査、診療情報を用いた調査でデータを収集することにしている。 2022年5月現在、39症例(血友病A 34名、血友病B 5症例)の回答を得た。 血友病A保因者の第Ⅷ因子活性値は19%~12316;82.2%(中央値:47.5%)、血友病B保因者の第Ⅸ因子活性値は、42%~69%(中央値:53.25%)と、個人差が大きいことが示された。分娩に関しては、37名の保因者に出産経験があり、のべ70症例の分娩報告があった。このうち、分娩中及び分娩後に「出血が多かった」と回答したのは14名、22症例であった。このうち3名4症例には輸血が施行されていた。 また、血友病保因者の分娩時の異常出血の割合は20%と健常者と比べて高いことが示されている。さらに、44名の血友病男児が出生していた。このうち、分娩時に頭蓋内出血を認めたのは4症例(後遺症を認めたのは1症例)で、血友病新生児の9%に頭蓋内出血を認めた。現時点では、海外の先行調査との共通点も多く見られるが、今後更なる症例の集積を行い、我が国の血友病保因者の実態を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍で対面での患者会や研究会などがなく、対象者へのアナウンスが十分に行うことができず、症例収集が難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは「血友病保因者の実態調査」を進めていくため、zoomなどのオンラインシステムを活用し、症例収集を進めていく。また、中間発表を行い、広く問題提起を行い、更なる症例収集につなげていく。同時に、血友病保因者の管理ノートの作成もすすめていく。
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Causes of Carryover |
調査研究が計画どおりに進んでおらず、次年度に継続して行うこととした。
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