2021 Fiscal Year Research-status Report
卵巣がん1細胞レベルでのマルチトランスクリプトーム解析による発がん機構の解明
Project/Area Number |
21K16789
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 康将 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (90885550)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一細胞解析 / 空間的トランスクリプト―ム解析 / 卵巣癌 / 子宮平滑筋肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、卵巣がんに対する一細胞解析・空間的トランスクリプト―ム等の解析を通して、その発がん・悪性化・薬剤抵抗性などに関与する遺伝子発現について解析を行うことである。現在までに、5例の卵巣成熟奇形腫の悪性転化に対して、一細胞解析および空間的トランスクリプトーム解析を行い、その微小環境の多様性について現在解析を行っている。卵巣成熟奇形腫の悪性転化は希少がんであり、その病態はほとんど明らかにされていない。臨床的には、良性腫瘍である成熟奇形腫から二次性に発がんすると考えられているが、具体的にどのような種類細胞が、どのようにして発がんするかは未解明である。今後、発がん・悪性化に関わると考えられる因子を同定し、細胞株やマウスモデル利用した研究によりその機能解析することにより、成熟奇形腫の悪性転化において重要な遺伝子等を明らかにする予定である。 また、他の卵巣がんの組織型である漿液性がんに対しては、4例の空間的トランスクリプトーム解析を施行した。今後、薬剤感受性に関わる因子を同定し、その耐性化機序について研究を進める予定である。 さらに、子宮平滑筋肉腫に対する新規治療薬を探索する研究も行い、論文発表を行った(Yoshida K. Clinical Cancer Research 2022)。子宮平滑筋肉腫は、極めて悪性度の高い婦人科悪性腫瘍であり、有効な治療方法は存在しない。今回、臨床検体のRNAシーケンスを通して、新規治療標的を同定し、その治療標的に対する阻害剤の前臨床的な効果を検証した。その結果、PLK1阻害剤およびCHEK1阻害剤が極めて高い抗腫瘍効果を示し、新規治療薬候補になり得ると結論づけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に次世代シーケンス解析によるデータは得られており、順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンスで得られたデータを詳細に解析することにより、有望な遺伝子を同定し、機能解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による社会的な影響等により、令和3年度に予定していた一部の解析を令和4年度に行う予定となったため。
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Research Products
(2 results)