2021 Fiscal Year Research-status Report
超音波エラストグラフィによる嚥下機能の見える化と予防・改善法のための基礎研究
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21K17037
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
太田 哲生 金沢大学, 保健学系, 助教 (10815864)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超音波エラストグラフィ / 嚥下機能 / 筋硬度 / 予防・改善法 / 嚥下プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は超音波画像診断装置を使用し、これまで難しかった嚥下関連筋の筋硬度を超音波エラストグラフィを用いて評価することを目的とする。嚥下評価はこれまで嚥下内視鏡検査および嚥下造影検査といった侵襲性の高い方法でしか詳細な評価はできなかったが、本研究ではより簡便な方法で嚥下関連筋を評価可能な手法を提案する。 当該年度は健常者を対象に、主要な嚥下関連筋の筋硬度評価が測定可能か検証し、検者内信頼性を検討した。筋硬度の測定には超音波画像診断装置(日立製作所;Noblus)を使用した。先行研究では座位および仰臥位での測定肢位が報告されているが、本研究では安定して測定プローブに圧を加えることが可能な仰臥位が適していた。 その結果、嚥下関連筋として重要な舌骨上筋群の内、オトガイ舌骨筋、顎二腹筋の2つの筋、および咬筋の筋硬度評価が可能であることが明らかになった。筋硬度測定の検者内信頼性の検討には、各筋のエラストグラフィ画像を5枚無作為に抽出し、測定された筋硬度の最大値と最小値の2枚を除いた3画像を分析に使用した。すべての筋でICC(1,3)=0.8以上となり、安定して筋硬度評価が可能であることが明らかになった。一方で、顎舌骨筋や舌骨下筋群の測定は困難であることも明らかになった。 超音波を用いた嚥下関連筋の形態評価はこれまで多く報告されているが、筋硬度の観点から評価した報告は過去に報告されておらず、本研究が先駆的な研究として位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が超音波画像診断装置の使用に精通するまで想定以上に時間を要した。その結果、当該年度の研究実績を、学会発表や原著論文として報告するには至らなかった。 また新型コロナウイルスの感染症対策で、研究の被験者を安定して集めることが困難であったことも一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
健常者に対して嚥下関連筋の筋硬度を超音波エラストグラフィを用いて評価可能であることが確認できた。今後は健常者だけでなく、高齢者に対しても同様に測定可能かどうか検証する。高齢者に対しても同様に評価可能であることを示すことができれば、質問紙等によって評価可能な嚥下の困難さと筋硬度の関連性を検証する。 また従来行われてきた嚥下に対する介入(嚥下体操など)によって、どのように筋硬度が変化するのかを明らかにする。一方でShaker exercise等に代表される嚥下障害に対する介入は、高負荷で対象者への負担が大きいことが知られている。より負担が少なく、高齢者でも安定して実施可能な方法で筋硬度を変化させることが可能であるか検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行に伴い、多くの学会がオンライン開催となったことで旅費が発生しなかった。 研究成果を論文として公表するに至らなかったので、論文投稿費や英文校正費などの費用が生じなかった。
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