2021 Fiscal Year Research-status Report
荷重応答性骨質制御機構を応用した個別化インプラント荷重プロトコルの開発
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21K17045
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
内田 悠介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (90890385)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インプラント / 荷重 / 骨質 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科インプラント治療は科学的根拠の高い欠損歯列を回復する有効な治療法であるが、近年では治療を希望する/行う患者の高齢化が進み、さらには慢性疾患に罹患する患者の割合が急増している。したがって、健康成人を対象として構築されてきた治療術式や科学的根拠に加え、高齢患者に対する安全・確実かつ早期終了が可能な治療術式の科学的根拠構築が急務である。一方2000年に米国国立衛生研究所(NIH)は、骨機能評価に必須のパラメーターとして骨密度と独立した新しい骨質の概念を提唱した。高齢者では疾患や薬剤の影響で骨質の個人差が非常に大きいものの、インプラント歯学領域において骨質は未開拓の研究領域であり、研究代表者らの研究以外ほとんど基礎研究が行われておらず、科学的根拠が大きく欠落しているのが現状である。 そこで本研究は、「荷重」と「高齢患者」に着目してこれらを「骨質」の観点から紐解き、これを応用して骨質別に荷重時期を決定する個別化インプラント荷重プロトコルを開発(作成)するための基盤を構築することを目的とした。 本年度は健全なラットおよび、健康高齢者モデルラットの上顎臼歯を抜歯し抜歯後4週間でインプラントを埋入した。その後インプラント埋入3週で行う通常荷重を実施して、2週と5週で屠殺しサンプルを採取することで骨組織動態を観察した。その結果、3次元的構造解析にていくつかのパラメーターで有意な差を認めた。今後はより詳細な組織学的解析を行う予定である。また。ほかの骨質改変ラットモデルについても同様の動物実験を進行させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常ラットを用いたインプラントへの通常荷重実験と高齢者モデルおよび、PTH投与モデルのインプラントへの通常荷重実験の一部が終了した。高齢者モデルにおいて実験動物へのインプラント埋入や術後管理で困難な点が多く当初の予定より若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験を進行させ、骨質別のモデルを作成して順次インプラント埋入を行い、その後の荷重時期を変化させ、インプラント周囲における骨組織動態を多面的に解析することで骨質別の荷重の最適条件を模索する。具体的には、マイクロCTによる3次元的構造解析、各種組織染色による組織形態学的解析、免疫組織による免疫組織化学的解析、遺伝子を用いた遺伝子学的解析とマイクロアレイ、コラーゲンの配向性解析などを行い、それぞれの骨質や荷重プロトコル時期別の解析結果を比較検討しインプラント荷重プロトコルを模索する。
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