2023 Fiscal Year Annual Research Report
荷重応答性骨質制御機構を応用した個別化インプラント荷重プロトコルの開発
Project/Area Number |
21K17045
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
内田 悠介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (90890385)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インプラント / 骨質 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科インプラント治療は欠損歯列を回復する有効な治療法であるが、近年では治療を希望する/行う患者の高齢化が進み、さらには慢性疾患に罹患する患者の割合が急増している。したがって、高齢患者に対する安全確実かつ早期終了が可能な治療術式の科学的根拠構築が急務である。 そこで本研究は、「荷重」と「高齢患者」に着目してこれらを「骨質」の観点から紐解き、これを応用して骨質別に荷重時期を決定する個別化インプラント荷重プロトコルを開発(作成)するための基盤を構築することを目的とした。 健全ラット上顎骨インプラントモデルにより早期荷重は、非荷重状態と比較して、I型およびIII型コラーゲン、セマフォリン3A、ニューロピリン-1の産生量の増加、骨芽細胞数の増加、スクレロスチンの産生量の減少、インプラントスレッド内外の破骨細胞数の減少を伴い、コラーゲン線維の優先的配向を変化させることにより、骨質を向上させることが明らかとなった。通常荷重は、インプラント周囲の骨質をわずかに変化させた。また,興味深いことに、早期荷重は、評価パラメータに基づく 骨の質と量に対して、従来の通常荷重よりも有意に強い影響を及ぼした。 一方,骨粗鬆症ラット上顎骨インプラントモデルにおいて,PTHの間歇的投与はインプラントスレッド内外の骨量および骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞数を有意に増加させ、さらにスクレロスチン+骨細胞数を減少させたことから骨質の改善効果があることが明らかになった.またPTHの投与方法として口腔内投与は全身投与よりも評価パラメータを改善した。 以上から本研究により,インプラント周囲の骨質と骨量の両方に基づいて、荷重開始時期の科学的根拠を示唆するものとなり,インプラント治療戦略決定の一助となった.
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